まぁどうでもいゝアニメではあるんだろうけど。

 えーっと、何年前だったかな?。自分が友人とアニメについて話している最中に気になった発言があって、いやそれが、某巨大掲示板で言われている使い回しに、花右京メイド隊でも見て寝ろというのがあるというものだった。もちろん花右京メイド隊が取るに足らないクソアニメであるということを示したコピーなんだが、実はいや本当に見るに耐えないくだらない作品なのかどうかゞ気になって視聴した記憶がある。内容は主人公の太郎だったかな…がなぜか大富豪の御曹司であることが発覚し、莫大な遺産を相続してだったか、とにかく後継者になって屋敷に来るわけだ。それまで貧乏暮らしだった主人公がたくさんのメイドにかしずかれる生活に戸惑う様、いやもっと直裁的に言えばメイドをヒロインとするハーレムアニメになっていて、メインヒロインであるメイド長は別格としても、その他のヒロインも太郎に惹かれたり、いや、面白いのがサブヒロインなのに太郎に惹かれたりしないのもいたりして混沌としていたわけなんだが、太郎の情けなさ、優柔不断さが理由なんだろうが、なんで取るに足らない主人公がカワイコちゃん達にモテモテなんだ?というのを理由に、モてないオタク向けが自分を主人公に投影してハーレムを追体験する妄想アニメという位置付けで批判されていたように思う。ダサイオタク達に迎合して、「ホラ、お前たちがモてる仮想現実を描いてやったよ」とスタッフが考えていると思っていたらしい。
 が、第1期を見終えて、そういうスタッフの見下しは感じられなかった。確かに現実にはありえない設定であり、ハーレムである必然性もあまりなく、いやハーレム物だったら、データベース型消費になるはずなんだが、それとはズれていた。そしてオタク向けにちょっとハメを外したおちゃらけも確かにあったのだが、それは当時のアニメからするとそうそう突飛な表現でもなかった。
 で、ご存知の方もおられると思うんだが、この作品には第2期シリーズがあった。普通第2期というと、第1期の続編になるのだが、この作品は一から作り直しという驚きの予算の使い方をした。そこらへんの経緯を良く知らないのだが、自分なんかは第1期の出来が悪かったから、作り直して汚名挽回を図ったのか?と想像した。が、自分的には第1期の出来が悪かったと思っていなかったので、もったいないと感じた記憶がある。実は原作を最後か最後近くまでチェックしていて、自分の拙い記憶だと、主人公がメインヒロインを取り返すために他のメイドの協力も得て戦いに赴くというバトル物になったと思う。で、最後に設定の転倒というアクロバティックな展開になっていたと思うんだが、いや、まぁ続編でその辺をやったとしてもあまり面白くはなかったろうなという気はした。
 で、現在のアニメの行間から自民盗独裁への叛旗という要素がかなり消え、ありうべき組織論って要素が強くなってきたと思うんだが、それを念頭に置くとこの花右京メイド隊も「組織における、ありうべきリーダー像」ってのが示されていたよなとつくづく感じた。ハーレム物といっても、そもそもメインヒロインが、いや確かに主人公に好意は抱いているようなんだけど、その気持ちをはぐらかしたり、いちゃいちゃするということがほとんど無い。主人公の屋敷にいるメイドは、主人公に奉仕するのが職務であり、だからこそ主人公が強制的に惚れられる環境になっていてきわめてご都合主義的設定という批判が強かったのだが、いや、職務だから主人公に奉仕するけど決して主人公に惚れているわけではないよってキャラも多かった。職務だから主人公に奉仕して、いやせっかくだからその状況を楽しもうよというメイドもいたし、職務に忠実なメイドのあり方に惚れるメイドや恋愛感情の希薄なオタクメイドがいたりして、いやはや決して主人公は惚れられているわけでもなかったよーってのが見てるとわかるんだが、これが結構会社組織に良く似ているんだわ。組織だから目標に向かって仕事はするんだけど、多種多様な社員がいて、いろんな仕事のやり方でお互いに助け合ってその目標を達成していくってありかたにね。
 で、主人公はメイドに対して絶対的権力を行使してハラスメントを行うか?と言われると、これが違うんだわ。で、メイドもいやおまえそれ仕事じゃなくて遊んでるだろというのもたくさんいるんだけど、大きく逸脱してなければ主人公は大目に見る…というか全く問題視しない。で、屋敷が壊れた時にも、メイド達は別にそういう事態に備えて建築スキルがあったはずもないんだけど、出来る限りのことを尽くして仕事にあたっていた。まぁあれだよね、WORKING
!!も多種多様な社員・バイトがいたけど、店長自体も破天荒で、従業員に圧力をかけなくてもうまく店をまわしてたよね?というのと同じ構造。で、主人公が体力的にも知力的にも特別優れた才能があるわけでもないフツーの人間であったというのも大きかった。いや、彼が現場のこともわからないのに、自分の思い込みであれやれこれやれとか言ってたら混乱してたと思うんだよな。それが大体仕事の権限は現場に渡してしまい、職場にストレスを与えないよう色々事にあたっていた。メイドたちはその時の彼の判断や思いやりに触れて、彼に心服していくわけなんだが、彼の言動が一休さん的ひらめき、クレヴァーさを感じさせないためか、あまり理解されなかったんだと思う。なんかもったいない作品だったよな。