若者殺しの時代 (講談社現代新書) 読了

 文体が軽くてすらすら読めた。若者を食いモノにしてきた層に迫ることより、若者がいかに経済的被搾取者として扱われてきたかという歴史みたいなものを書いてあったように思う。消費主体としての女が主導、で、女自身が自分の価値を吊り上げた結果、大暴落まで引き起こしたって言説はなるほどとは思ったが、この本はその当事者である女はおろか、男の若者が読者層ではないような気がする。むしろ自分みたいなオッサンが今までの経緯をふりかえって、たしかにそうだったわなと再確認するもの。ただ、面白い視点はいくつも提供して貰ったので、自分にとっては結構価値のある本だとは思った。
 それより、今、日本占領〈2〉 (文春文庫)を読んでいるのだが、これも結構面白い。入手の都合上、第2巻から読んでいるが、今1と3が手許にあるので随時読む予定。もともとは新円切り替え、預金封鎖を知るために購入を決意したのだ。戦中は鍋釜まで一般家庭に供出させ、戦後のどさくさに紛れて一般家庭の金を吐き出させ、一気に貨幣価値を5〜6年でほぼ200分の1まで叩き落したというあの措置だ。戦争で人の命を奪うだけでなく、財産まで根こそぎ奪ったわけで、この責任を当時の戦争指導者は今だにとってない。
 この2巻を読んで頭に残っているのが、どうも鳩山一郎公職追放に遭ったのは吉田茂を総理大臣にするためと読めてしまったことだ。むしろ吉田茂はいやいや占領軍に従ったフリをしながらも、実はこっそり占領軍に総理大臣にして貰ったということだ。この第2巻では吉田茂の評判は悪いとある。鳩山一郎も後に総理大臣になりはするが、吉田茂の末裔の麻生太郎が合衆国傀儡の自民党政権最後(だよな?)の総理大臣となり、鳩山一郎の末裔の鳩山由紀夫反自民の政党党首として首班に就き、合衆国の嫌がらせをうけているというのは歴史の妙を感じさせる。
 で、今206頁あたりを読んでいるんだけど、占領軍が駐留兵士のための環境設備を充実させればさせるほど、日本の占領負担額が増加したらしい。で、業者はボロ儲けができるから、占領軍のいいなりになって受注するんだと。水増し請求もあたりまえで、とにかく税負担が増大しまくったらしい。いやはやワロタ。これって今のおもいやり予算と同じ構造じゃん。そりゃ既得権益層は自民党マスゴミにワイロを贈ってまでも在日基地を沖縄に作らせたいはずだよ。いやはや。