Angel Beats! 第1話

 今までに三度、視聴しちゃいましたが。
 中二病的世界観ながら、なるほど現実世界とリンクしてるやと思った。まず、SSSの面々は、社会的弱者、一例を挙げると失業者とかだったりするんだろう。但し、きわめて主体的なって修飾語はつくが。
 対して天使は、あからさまではあるが政治屋や経営層、大きな組織の管理職などの権力者。天使なんだから、他に神も仏もいて、絶対者というよりは絶対者の代理人なんだろう。生徒会長って肩書きなんてモロそうだろうし。NPCなんかは権力者のいうことに唯々諾々と従う受動的な一般庶民、まぁB層だろう。天使はSSSの敵だが、NPCはどうも敵ではないらしい。
 あの世界での「死ぬ」ことは、現実世界では社会からドロップアウトすること。そしてあの世界での「消える」ということは、現実社会では実際に肉体を失ったり、社会的に無視されるってことだろう。まぁ抵抗をやめると、それはNPCに近い存在になってしまうわけで、それをSSSの面々の主体性から考えると、存在意義が全く無いってことにもなるんだろう。
 そしてやっぱり圧巻は作戦実行の描写だろう。前準備、陽動のライヴから主人公と天使の対峙の流れはテンポも良く、歌詞も曲のタイミングも合っていてワクワクしたよ。天使も相手が弱ければ自らの手で叩き潰すって対応をするが、相手が多くて大変な時には攻撃を無効化するズルを躊躇無く選択している。SSSの武器は実は物理的に強いはずなのだが、それが効かない。労働者が労働法をタテに戦おうとしても、経営層は労働基準監督署を抱き込んだり、労働基準法を文字通りディストーションしてまで、雇用者を返り討ちするのに対応している。
 いろいろ他のサイトさんの感想を見ていると、視聴者に媚びるために安易に採用したんじゃないかと悪評の高いライヴだが、いや、劇中でちゃんとアレは陽動だっていってるジャンかと。で、音楽などで庶民のガス抜きをして、その実彼らからいろんなものを巻き上げるってのは、権力者の常套手段なんであって、今回はSSSがそれを逆用しているってことだろ。で、権力者は食券という記号に代表される庶民の富をできる限り搾取しようとするが、SSSは必要最低限だけ頂戴するって態度だ。ライヴ本体は、視聴者を惹きこむほど魅力的に描かなければ、劇中のNPCが巻き込まれていく様を納得させられないだろうから、アレは正解だと思う。
 天使も最後まで追ってこなかったが、あれも別にSSSの面々がNPCのポケットに直接手を突っ込んだわけじゃなくって、NPCがライヴで我を忘れている間に風が巻き起こり、犯人の特定が出来ないからってのが理由だろう。どの食券が誰のか特定できない以上、あれはSSSのアイデア勝ちになるわけだ。
 いやぁ、確かに台詞が多いとは感じるんだが、かといって無駄な部分が少なく、意味があって脚本に記されているように思う。そもそも開始早々状況が混乱しているわけで、もともと視聴者に考えさせながら視聴させる作品なんだろうなという気はした。もちろん聞き取りにくかったり、台詞の意味を考えているうちに次の台詞がどんどん流れてくるって状況になるからこそ、自分も三度みちゃったわけで、確かに説明過多ではあるが、かといって絵や動きでわからせることが出来るってもんでもなかろう。自分なりの解釈が終わってみると、ちゃんと必然性や繋がりが見えてくるんでは?。自分には意味があって詰め込まれているように感じた。
 というわけで、結構面白かった。この勢いがいつまで続くのかってこともあるが、やっぱ期待作といわれるだけの事はある。主体性のあるヤツらのことを描いているんだから、視聴者も主体的になれってか?。