Mission-E 総感

 なんか急いで風呂敷をまとめました…感はあるものの、CODE-Eの伏線はとりあえず回収したっぽい。といっても前作は結構忘れている部分も多いが。今流行りの変則2クール構成で、吉と出るか凶と出るかはわかんなかったのだが、いわゆる千波美達の時間が経ちました…というのと、実際に時間をおいたことは、むしろ戸惑うことが大きくて自分的にはそんなに効果的に働いたとは思わなかった。やっぱ番組終了時に続編決定の告知をするより、初めっから変則2クール構成と言っていたほうが自分的には好感度が高かったのでは?と思う。もしかすると前シーズン初期には、今期予算が確保できていなかったという可能性もありますけどね。
 前期では、科学と人間との関わりというテーマと、TYPE-Eが何のメタファーなのか今でもはっきりしないが、違うもの同士の共生というのが2大テーマとなっていて、この作品で共生の解決手段の本質は、どうやら「お互いが好きになること」であるらしい。CODE-Eが人間からTYPE-Eに寄せられる好意であり、Mission-EがTYPE-Eから人間に寄せられる好意と、矢印の方向が反対で、お互い補完しあうようになっているように見える。麻織が「だって好きなんだもん」と言った時には、二十面相の娘のチコと同様オジサンキラーかと正直呆れたのだが、CODE-Eのことを思い出して納得した。
 CODE-Eを見始めた時には、科学と人間との関わりが大テーマと思っていただけに、順当ではあるが手垢にまみれた結論で肩透かしを食らってしまった。結論はありきたりでも、科学の負の側面をえぐってみたり、思いがけない功名を見せたりしてくれれば、感心もするのだが…。
 今回意外だったのは、千波美達のミクロレヴェルの描写だけではなく、その背後にある色々な組織、社会的な背後関係にも切れ込んでいたことだ。経団連を思わせる経済団体、その出資による対立組織など、結局社会問題の改善は個人単位での意識改革だけでなく、どうしても社会的に影響を持つオズのような団体を組織しないとお話にすらならないということが、あらかじめ結論として提示されていた。組織としてのオズは、よくよく考えて見ればそのそのの個人的な善意によるものなのだが、社会的な行使力を持つためには結局カネの力がないと無理なんだというのがちょっと残念だわな。まぁ力なき善意なんて影響力を持ち得ようもなく、手っ取り早くそれを実現するためには今のところカネが最善の方法であるという事は否定しようもないが。で、それだけでなく、権力に迎合しては結局それに取り込まれてしまうだけであり、最期のそのそののように対立も辞さないよう意志をはっきり持つことの重要さが描写されていた。そこまでいってしまっているわけではないと思うが、55年体制に見られるような、日本的ナァナァでは問題は解決しないどころか、むしろ隠蔽体質が問題を深刻化・陰湿化させるという反省を踏まえているように見える。
 個人的描写では、普通主人公格の二人が問題を解決するという1話もしくは2話完結のエピソードをいくつかこなして、問題点の洗い出しをするべきところだ。ここらへん1クールしかない尺のせいだとは思うが、自分的には不足を感じた。第1話で救出したOL美晴が最終話にでてきた時に、関西でコンビを騙した茜と間違ってしまった。柊教授や鬼里九の動機付けもほのめかされる程度で、特に柊の怨念が凄まじかっただけに、写真だけが露出情報なのはさすがに不親切だろう?。麻織は主人公なだけに、描写は十分で、もちろん千波美やその同級生もCODE-Eがあってこそではあるが、不足はないように感じた。漫画版のCODE-EXがアニメ二作を繋ぐ斎橋由真の物語であるそうだが、それを読んでいるとまた違ってくるのかね?。
 というわけで、クォリティは高いのに、なんでCODE-Eは視聴後感がこんなにショボーンなの?と思っていたが、やはりこのMission-Eがあってのことだった。というより、Mission-Eも含む大きな物語の紹介部分や、問題提起でCODE-Eは終わっており、単体で見たら物足りなく感じるのは仕方が無いという構成だったようだ。たぶんCODE-E終了直後のほかの感想サイトさんも、絶賛しているところは少なかったと思うんだが、仕方の無いことだったんだろう。
 で、Mission-Eは、もちろんCODE-E既視聴者はもとより、未視聴者もそれなりに楽しめる内容になっていたとは思う。麻織も人にはない能力のために疎外感を得ており、アドルも過去になんかあって…という風に補完ができる人にはCODE-Eよりは評価できる作品になっていたのではないだろうか。単なる個人的感情では、なんらかの結論が示されているだけにMission-Eのほうがやり遂げた感はある。リフレイドレスが胡散臭くも色気担当アイテムとわかっているだけに、そこらへん目の保養にしつゝ、やはり中高生に向けてわかりやすく物語が作られているように思う。あんまり大人が目を凝らして視聴するものでもないんだろう。そういった意味では物足りないのだが、単体の作品でおもろ+をつけるだけのクォリティはあったと思う。