見るまいと思ってはいたのだが、松フィギュアに目が止まって原作を二巻ほど既読のため、気になってはいた。ダメなら消しゃあいいやと思っていたのだが、他サイトさんの感想だとあんまり評判がよくない。でも結局3〜4日に分けて視聴。なんで見ちゃったんだろ？。
で、原作二巻ではさすがに俯瞰できていなかったと見え、アニメ版で大体の構造がわかったような気がする。要するにアニメ版ローゼンメイデン（トロイメント）と同じ構図じゃねぇかと。7体のドールが108羽のセキレイで、アリスゲームが鶺鴒計画だろ。セキレイたちは要らぬことを吹き込まれていがみあわされているが、主人公やその周辺のセキレイはお互いの穏やかな生活を重視ってとこも同じだわな。鈿女なんて、モロ水銀燈とカブってるじゃんか？。まぁセキレイ計画なんて不必要に煽られている現代の競争社会のメタファーだよな。
みなたんが頼りない主人公で、成長もなんにもしてないじゃん！という声もあるのだが、ある意味彼は神輿に過ぎないわけで、別に続編が作られて彼がそのまゝ成長しなくとも何の問題もない。彼の4人のセキレイたちは、マスターが違えば、その命令でどのような悪行でもやってしまうわけであり、みなたんは彼女たちの大義の記号とお互いを繋ぐ役割を果たしていれば十分といえる。まさに象徴として働いている。まぁ斉の桓公、漢の劉邦、三国志蜀の劉備とも、個人としての能力は無いといってよいが、優れた部下をまとめ、裁量を与えて思う存分働かせて成果をあげたわけで、空気のような主人公であっても、それでよいわけだ。
みなたんの従えるセキレイたちは、皆能力はありながら一クセも二クセもあり、例えば企業で働くにしてはすごく扱いにくいだろうなという性格付けがなされている。で、優柔不断で決断力がないというみなたんの行動は、実はこの場合理に叶っている。もし彼がセキレイのなかで順位をつけてしまうと、下位に位置付けられたセキレイのモチベーションは著しく下がってしまう。ドタバタしてまとめきれていないように見えるが、ここで上下関係を固定した所でタダの目的達成組織になり下がって*1しまい、組織の中で個人が生き生きできない集団になる。それはこの作品の主張と反する。
で、実は原作は第4巻までチェックした。アニメ版最終話までとあわせて考えてみると、どうもみなたんは五行説にちなむセキレイをこの先コンプするらしい。
- 木（木行）…風花
木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。「春」の象徴。
- 火（火行）…焔（篝）
光り除ｰく炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。「夏」の象徴。
- 土（土行）…草野
植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。「季節の変わり目」の象徴。
- 金（金行）…松？
土中に光り除ｰく鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収獲の季節「秋」の象徴。
- 水（水行）…月海
泉から涌き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。「冬」の象徴。
そういうわけで、彼が個性豊かなセキレイたちと知り合い（仲間になり）、困っていた人を助けました…で終わってしまった今期は、確かに物足りないと思う人が大勢いても不思議はない。最終話で−to be continuedとあったが、まぁどうだろうね？。さすがにこのヒキだと｢続編あるよ！｣というものに見えるけど、別に｢あなたがこの競争社会で、どのような葦牙もしくはセキレイの立場で過ごしますか？。そのあなたの戦いはこれからも続く｣という風に見ちゃってもいいわけだしな。ながされて藍蘭島ですら2クールだったわけで、この作品も原作のストックが溜まれば2期があってもおかしくはないしな。ただ、微妙にアニメ化に際して改変しちゃっているところがあるっぽいので、確定ではないだろう。総じて原作再現度はかなり高いと思う。
終盤のご都合主義っぽい展開はちょっと芸がなかった*2のと、過剰すぎるお色気が鼻につかないわけでもなかったが、総じて悪くはない作品だったと思う。いや、胸は大きすぎるわな。ああでもしないと売れないのかね？。それはともかく、流れは自然で視聴にストレスは感じなかった。OP・EDも耳に心地良く、つくりが丁寧。みなたんを社長とする会社だと考えると、セキレイたちは結構幸せなんじゃないかと思えるかどうかが分かれ目だろうな。他人に勧めるほど上品ではないが、オタク層に対する訴求力は抜群だとは思う。あとで評価が落ちるかもしれないが、いまのところおもろ+をつけておく。
*1:そうなったら力の強いセキレイを数多く所有し効率的に組織したものの勝ちになってしまい、物語の作りようがなくなってしまう。強いものが勝ってしゅーりょーだよ。
*2:結が倒れてからの展開はデウス・エクス・マキナだろうし
