コードギアス 反逆のルルーシュR2、日経インタヴュー記事のアレ

 アニメから見る時代の欲望 「世界は自分に優しくない」という解毒剤 谷口悟朗監督「コードギアス 反逆のルルーシュR2」(2)(2008/09/01)123
 うーん、やっぱどうなんでしょ?。「オンリーワンって言ってたって、子供たちなんて元から信じてないっしょ」という分析も面白くて、結構谷口監督の発言に頷きながら読んでしまった。最後やっぱ大きな物語が要るじゃんってとこで、「?」とも思った。また、ルルーシュはやはり現代の「夢のようなスゴイものを、努力をしないで獲得できる」という思い込みがある若者のメタファーでFAらしい。第1期の時点で、ルルーシュの反逆の動機が結局自分の都合だけという風に思ってはいたんだけど、自分は第2期で、他の大勢の人との擦り合わせをおこなってハッピーエンドにしてくると思っていただけに、アテは外れた。さて興味のある発言がたくさんあるのだが、一々監督の発言にツッコんでしまうと、また下手な長文がさらに酷いことになってしまうので、ちょっと構成的なところを記述してみる。
 たくさんの人に肯定されるべきとも思わないんだけど、谷口監督も結構「見えている」人なんだなぁという気はした。で、この記事の段階で、もうルルーシュが墜ちた人という結末で終わるというのもほぼ間違いないんだろうなという気もする。で、この谷口監督の発言を聞いて、作品を振り返ってみると、確かに彼のいう通りになってはいるんだが、本当に前知識無く眺めてみた時に、そう見えるか?と言われればNoだろう。
 ここは演出の匙加減であるとは思うんだが、やはりルルーシュが肉親の死に打ちのめされた正当な復讐者として描かれており、個人の欲望成就が主といえども、人との触れ合いで人間性を高めて人々の願いも聞き届けようとする善人と見えてしまう。彼がギアスを使って人々を容赦なく駒として使い、また切り捨ててはいても、いろんな事件を通じて成長し、人間らしさを学習してよりよき世界を作る救世主になるのかもと思わせるものになっていると思う。少なくとも今回の話までは。谷口監督のような主張をしたいのだったら、従来はもっと視聴者がある意味ルルーシュを見下すというか、さかしい手段で目的は達しても人からは決して愛されないだろうなという哀れむべき存在として描いてきたと思う。だからといってダメだというつもりも無い。むしろ彼の目的からすると、よくぞあと4〜5話という段階になるまでスタッフの意図を悟らせなかったよなと感心するべきだろう。ミスリードがうまいというか、上手な釣りとか言ってもいい。
 で、なんというか、この手法を新境地と切り開いたといっていいのか?と言われれば、それはよくわからない。今思っているのは、たぶんこういう脚本にしないと見てもらえないという流れがあるのではないかという気はするのだ。視聴率があんまりよくないと聞き及ぶのだが、かといって昔のお話のように、ルルーシュを哀れな存在にしたところで、もっと見てもらえないだろう。また、気にかかるのは、やっぱ表現者なら自分の作品を通じて伝わるように努力すべきなのだが、スタッフの意図を伝えるために、インタヴュー記事のように別の媒体を使って“答え”を明かすのはどうかな?という点だ。
 監督自身、ネットでの記事がかなりの速度で一定数の視聴者に届くのを期待しているだろう。だからこそ、ルルーシュが皇帝になって牙を剥く(であろう)、ちょうどこの段階で公開したからだ。もしかすると韓国バレとよばれる、前回までのネタバレも、製作側がわざと流出させたのかもしれない。
 しかし、なんというか、褒められたことでもないのだが、かといって貶すというのもヘンだなぁという気はしてしまっている。あんまり単純な構造にしてしまって先を読まれてもいけないし、かといって複雑にしてわかりにくいものにしているわけでもない。ちょっとこねくり回しても、かなりの数の視聴者の読解力は無いわけだし、そういうのを置いてきぼりにして話を進めても視聴してもらえない。かといって、現代の若者について酷いことを監督は言ってはいるわけだが、視聴者をバカにしている風でもないんだよな。ジェットコースター的展開で振り回す分、主張が見えにくくもなっているわけで、楽屋から出てきて補足したくなるのもわかる。何の説明も無く最後まで突き進んでいっちゃったら、かなり多数の人が目が回ってなにがなんやらわからないで終わったという印象を受けるだろう。
 でもやっぱり、作品の中だけで完結すべきとは思うんだよな。っつーか、このインタヴュー記事、まだ続くらしい。