もっけ 第4話「ワライヤミ」

 くぎみーとちわちわを少年役に割り振る贅沢よ。
 いやぁ、最初っからこんなにトばして、後々大丈夫ですか?と思うほどの出来。最初っから最後までうるうるしながら見てました。しかし、今回は日本古来の妖怪・お化けというよりは、より現代性のほうが強くって、異なるものはつけたしっぽかった。東方朔の話はとってつけたようなもんだろうしな。しかし東方朔って面白いな。

 帝に食事を招待されたときには、食べ残しの肉をすべて懐に入れて持ち帰ろうとして服を汚すのが常であり、下賜された銭・帛を浪費して、長安の若い美女を次々と娶り一年もたつと捨てて顧みないという暮らしのため、同僚には狂人扱いされていたという。

 彼の素晴らしいところはリンク先を参照してもらうとして…。
 まぁ瑞生いい娘じゃんで終わってもいいんだけど、それじゃぁあまりにもそっけないと。まず登校時の少年との会話で、穏やかな日常が描かれる。なんか瑞生が男でもいいような会話なんだけどな。どっかの官僚のように失敗を認めようとせず、他人に責任を転嫁するようなことがなかったよね。田舎の素朴な学校って設定だろうからアレだが、イジめの蔓延しているようなとこでは絶対に見られないような風景。
 あと、じぃちゃんがいい味だしてるわな。甘やかすわけでもなく、優しいというのとも違うんだけど、鍛える・見守るって態度が全面に現れていて不快感は無い。「一見理不尽のように見える怒り方にも実は裏があった」というサプライズは無いんだけど、もうじぃちゃんの立ち位置が決まったようなもんだしな。
 しかし何より白眉なのは、競争社会のギスギスした現在の日本のメタファーってのがねぇ。で、それに耐えて超克する姿に涙するのですよ。実は明確に描かれてはいないんだけど、瑞生には、彼女に取り憑いたもののように、人を攻撃して楽になりたいという気持ちがあったはず。が、それをしないで内部解消を図る姿に今日のテーマがあったんだと思う。
 ランナーズハイというか脳内麻薬で雲散霧消ってのは、解消方法としてどうなの?と思わないでもない。もたらされたもの(原因)が瑞生の生活圏の外からだったってのと、つっかかってきた女の子が変革したからよかったものの、他人を笑って自分を守ろうとする人間がまだ存在しつづけ、そういうのがはびこる環境が残るのであれば、はけ口が瑞生に集中して最後に彼女が壊れるという事態になるわけだ。大抵イジめの現場はそういう負の循環からいつまでも抜けられないというのが現実だ。
 そうは言っても、その負の循環に陥っている(もしくはその循環に荷担して弱い自分から逃げている)当人は、もう自分から抜け出すことが出来なくなっているわけで、そこで非難の応酬合戦をやったところで余計頭に血が昇りますます事態は悪化するばかりなんで、酒なりの要素を持ち出して、改善の可能性に賭けるわけだろう。
 しかし瑞生は登場時は天然で迂闊だから憑かれ体質なんだろうなと思っていたんだが、抵抗しないからこそよっかかられもし、そして祓う力があるからこそ余計巻き込まれ体質でもあるんだろう。仕事の出来る人間に仕事が集中してしまうとしか。