キスダム 第17話「拒溶」

 OPに派手な効果音が!。
 いやぁ、同じクサイ芝居でもこっちのほうが断然いいですな。樹の真意がはっきりしただけに明快な物語となった。しかしそういう設定だと、樹は裏返ってないということか。しかしなかなか設定とか構成とかよく考えられているっぽい。
 樹と七生以外の仲間は、生きたかったということらしい。ということは「裏返った」というのは、生きたいという欲求のためにハーディアン?側に「裏切る」ということでいいんだろうか。そして彼らが生き続けている間、それも裏返る前の人として許されないこだわりあたりに束縛されていて、それが裏返った後も周囲に悪影響を及ぼしているってのがね。シュウはその状態から更正させる…いわゆる成仏させているわけだ。裏返った連中は自分自身や周囲を苦しめていた怨念から解放されている*1。実際にまた登場するかどうかは別として、シュウが彼ら自身の復活を促しているのでは?というのは前にも述べた。
 これでかつての仲間のその後は全員終わって一段落ついたということだろう。仮に生き返ったという形で再登場するとしても、呪縛から解放され、精神的に新しく生まれ変わった姿であるに違いない。
 人物も単一の記号化などせず、人間関係をうまく組み合わせているように感じた。シュウがヴァルダを抱えて移動しているのは、二人の距離がより一層近づいたことを示している。が、乃亜との三角関係を構築などせず、ラブコメ要素は極力排除されている。前回もヴァルダのシュウを見るまなざしにおんなを匂わせるものがあったが、かといって恋愛感情はなさそうってのが絶妙な按配。チューリップハットのにいちゃんも、ただの研究オタクじゃなくて、ちゃんと指導者をしているのも好感度が高かった。
 しかし乃亜もなにげに会話を楽しんでいますわな。「シュウと同じ。守りたいものがここにあるから。」という発言は、どう考えてもシュウは乃亜を守りたいと思って戻ってきたという前提がないと成り立たない。ちゃんと乃亜のシュウに対する想いというか決意というのが着々と固まってきている様子が描写されていて、なにげに微笑ましい。時間稼ぎをするシュウも照れ隠しなどしておらず、それぞれが自分の気持ちに素直になっていく様子がこれまた素晴らしい。なんつーかね、最近は相手を自分の思い通りに動かそうという恋愛が多くて閉口してたんですよ。こういう恋愛が見たかったのですよ。

*1:七生を除く