コードギアス 反逆のルルーシュ 第22話「血染めのユフィ」

 国体は護持されたぞ、って惨劇かよ。
 想定された行政特区日本はまさに終戦後以降の日本そのものなんだろうな。アメリカ側にも民主化した理想的な日本という大義を本気で信じていた層もいるし、とうぜん植民地経営として冷徹に利害を考えて運営していた層もいたであろうし。与えられた自由は本当に現在の日本そのもの。きっかけはなんであれ、「戦争には負けたけど国民自身の手で立て直した、もうひとつの日本」のあり方がこれから描写されるとでも言うんだろうか。日本側にも戦争に負けて、国民を守るどころか国有資産を横領してあたらしい占領軍下での地位保全につとめた層もたくさんいたと聞く。まぁぶっちゃけ言えば現首相の祖父がまさにその権化の一人だったんだがな。つーか今政権でやりたい放題やっている層はほとんどそうなんだがな。
  二人の会談では「そんな卑小なことで」と訝しがりもしたが、むしろ権力を剥ぎ取った一人の卑小な人間としての話し合いとしては心温まるものがあった。なんのかんのいっても人間というのは努力しない限り、日常自分の意識の及ぶわずかな範囲にしか気が回らないだろうし、その範囲だけでも誠意を尽くして、かつ迷惑を他にかけないよう生活していれば、その総和としてそんなに世の中が殺伐とはしないものだ。サミュエルソン合成の誤謬はあるにせよ。
 やはりコレだけギスギスしているのは権力をかさにきてわがまゝ放題尽くす層がいるからであって、自分の悪行をこれまた権力で揉み消しているというのがまた世の中が好転しない要因でもある。最近の日本では悪事を隠そうともせず、自分の地位にしがみつく見苦しい姿が散見される。この作品でも貴族がイレブンと蔑んで一般人を打ち据える場面があったが、スタッフの意志はどうあれ、これまた今の日本の状況を誇張して活写していると思う。ただ、宗主国アメリカではなくて、実際に日本を痛めつけている実行者は政権与党に連なる利権層ではあるが。なんかどうなんだろうな。戦いたいのは山々だが、相手が勝つように調整されまくっている投票行動で世の中が変えられるとも思わないし、暴力闘争が最善とも思わないんだよな。かといって相手の土俵の上で戦っても消耗して食い尽くされるだけだし、新しい土俵を作るなり、相手を土俵から引き摺り落として地べたに這いつくばらせてやんなきゃなんないんだよな。それができるかどうかは別として。
 もうそろそろ前半しゅーりょーのようだが、なんとか後半の混戦につなげるだけの基礎固めは済んだみたいですな。結構粗もあるんだが、話題は豊富だし考察はあとからでもいいんじゃない?と思わされるだけの勢いはあると思う。強引だけどね。