第12話「ウォー・クライ」その3

 政治がらみの話を。
 今回の話の最後の引きが、連合艦隊はどちらの味方か?という形でした。地球連合がこの世界ではどういう位置付けなのかはわかりませんが、現在の国連と同じような組織なのであればちょっとおかしいような気がします。名目とやらを公式に発表してから出征するのが筋ではないでしょうか。そこらへん現実味がないような気がします。
 描写から考えるとアマテラスのほうが有利な気がします。間宮元総理はちゃっかり自分の政権復帰をもぐりこませていますが、王国の利権が連合に渡るようけしかけて協力を取り付けたようです。いつの間にという感じがしないでもないですが、おそらくアマテラス乗艦前にはほぼ終了していたことなのでしょう。もしかすると間宮元総理の政治的な駆け引きも含めてすべての陰謀は結城技術士官が黒幕であったというのが真相かもしれません。
 王国側はどんな取引をしたのか不明ですが、今までの経緯にしてから評判は悪いことが想像できます。シュウにアマテラスが逃げ込んだときも、シュウ政府に恫喝をかけてアマテラスを追い出そうとするだけでなく、歯向かえば占領までしてしまう態度はいただけません。星間企業ですら恫喝をかけていますし。アマテラスがいくら補給を十分受けたところで、直後の状況では5対1なんですから脅し方がきつすぎたという感じをぬぐえません。普通寄港時間を区切って、それを超過したら中立港からは退去せよというのが筋ではなかったかと。こんな外交の仕方だと、王国は貪欲だから手を組むのは危険であると考えられても仕方が無いわけで。今王国は内紛でゴタゴタしているから、これがいい機会だと見積もって王国をつぶして利権いただきと連合が考えても、不思議の無い流れです。でもそうだとすると、「連合と話がついた」の台詞が気になります。どういうところまで合意が取れていたのか、その内容が知りたい。それとも約束なんてしておらず、ねーちゃんの勝手な思い込みでしょうか。外交カードにするために拿捕に切り替えたといっていましたが、拿捕して連合に引き渡したときに王国はどんなことを連合から与えられるという設定なのでしょうか。単にヘンリエッタでの覇権を認めてもらう(黙認してもらう)だけなら、アマテラスを撃沈してしまう方がはるかにメリットが大きい。エルロイ提督としては上司がヘタレたために貧乏くじを引かされたんでしょう。日本の大部分の組織だとこの後、上司は自分の判断の失敗を部下の処理のまずさのせいにして保身を図るのですが、この世界だと上司も部下も関係なくすべてがご破算になりそうです。
 日露戦争の折には政治のトップと軍事のトップが両方とも国家経済についても、戦争の落しどころも理解していたのに対し、スターシップ・オペレーターズの王国は文民統制でもうまく国家運営が出来ていないように感じます。軍国主義でもダメですが、文民統制でもそれと同程度にだめであるという事をスタッフは主張しているのでしょうか。まぁ、今の日本の状況とある部分で合致するのは私も大いに同意しますが。
 しかし、アマテラスを亡命国家と見なしたときに名目が成り立つと間宮元総理がいっていましたが、亡命先の組織がアマテラスを亡命国家と公に承認した場合に成り立つのではないでしょうか。連合が王国に発言を許しているわけなんですから、連合はまだアマテラスを公に亡命国家として承認していないのでは? 連合がこっそりと派兵したり、先遣艦隊が王国側にもアマテラス側にもコンタクトを取らないのも不自然ではあります。物語の進行上、伏せておく方がどきどきするのは当然ではありますが。この場合、今までの裏での駆け引きが次で明らかになると思うので、ぎりぎりまで視聴者に我慢してもらうのは妥当だと思います。