宝石の国 第9話

 フォスの手、猫金じゃなくて本物の金だったのか。
 いきなり変容したフォスの巻。冬になってからしばらくの話はぼんやり好みだなぁと思っていたぐらいの認識だったのだけども、この展開を見てフォスにとってアンタークが特別な存在だったんだなと今更ながらに認識してしまった。思えばアンタークに会う前は他の鉱物たちにフォスは保護される立場だったのだが、アンタークはフォスを能力に難ありと見ていながらも同じ仕事をする同僚としてそういや見ていたんだなと思い至った。おそらくフォスはアンターク以外の鉱物が身代わりに連れ去られたとしてもあれだけ変化しなかったんだろうと思わされる。
 うーん、しかしよくわからんな。この作品にどういうメッセーヂ性があるのか未だに不明なのだが、フォスフォフィライトなんていう鉱物が主役で、途中、この作品のキャラクターがフォスたちの骨、貝たちの肉、それから月人がおそらく精神と人間を分離したものであるんだろうと見当をつけてみると、骨の成分がリン酸カルシウムと燐を含む塩だから、人間に近い存在なんだろうとかなと思わなくもない。が、それだったら燐灰石なんてそのものズバリに近い鉱物もあり、それも脆いという性質を持っている。
 で、こゝに至ってリン酸鉱物のフォスの足に珪酸鉱物である瑪瑙が継ぎ足され、手には金属が継ぎ足されと、そもそもあまり相容れなさそうな物質とのハイブリッドになることの意味がよくわからん。強くなるためには敵の要素を積極的に取り入れるというのとは方向性がちょっと違う。ダイアモンドが強い設定っぽいから、モース硬度至上主義のようではあるが、ハイブリッド化でその硬さを取り入れたというわけではないようだし、珪酸鉱物や金属が強いという描写もなかったから、単にフォスフォフィライトに違う要素が付け加えられて戦う上での柔軟性が増したぐらいの意味付けしかないように見える。まぁ現実の鉱物が持つ物理的性質を正確に反映させていると考えるのも陥穽なんだろうね。
 ほんでもって、まさか今更フォスの成長物語をこの1クールで示すってのもあまりに凡庸な感じだしで、「俺たちの戦いはまだまだこれからだ」ENDでないのだとすればやはり物語の顛末がどのようになるのかよくわからんといったところ。但し回を重ねるにつれ落ち着いて視聴していける感じにはなっているので、一通り視聴すればそれなりの満足感が得られるのかなという予感はする。