冴えない彼女の育てかた ♭ 第11話

 こりゃきれいに〆たな。
 いろいろ盛りだくさんの最終回。続編を期待したいところだけど、かなり決着をつけちゃってよくまとまってるからどうなんだろうな?。いちおう原作は続いているみたいだから作ろうと思えば作れるんだろうけど。
 オモロイのは、前期でかなり加藤がゲーム作りに巻き込まれる過程で主体性を獲得し、タイトルで言えば「育った」というのが今期で十分なほど提示されているだけでなく、安芸自身加藤を育てゝいるつもりが、実はヒロインズに育てゝもらっていたという相補性。バーナード・ショーがピグマリオンではそうでなかったのがマイフェアレディではイライザが戻ってくる結末にされて腹を立てゝいたらしいが、それは確かにヒギンズがイライザを人格を持った一人の人間として扱っていなかったのだから当然とでもいうべきで、観客に媚びてイライザが戻ってくる結末はご都合主義というしかない。で、本作はなるほどそういう相補性を組み込むことで構造的には納得のいく結末になっているわけで、これはなるほどアイデアはもらったのだろうけども、アイデア元に敬意を払ってやはり別作品として(ラノベではあるが)昇華しているように思う。
 前期の最初、こんなメタ表現てんこ盛りで大丈夫か?と思ったものだが、いやまぁエンタメ論含めて現代の萌えを取り上げているところなど、今となって考えてみるとよくこういうテーマに直球勝負を仕掛けるなぁと感心する。で、そのエンタメ論だからこそ、この作品でのそのテーマとエンタメのバランスを考えて作りこまれているようで、入れ込みようの凄さが窺える。丸戸がこれらを書き出して構成しているのか、それともあまり書き出し作業はせず頭の中で組み立てゝいるのかはわかんないが、そういう組み込まれている要素やそれらの調整とか考えるだに作りこみの作業は大変だったろうと推測する。ホント0話に代表される視聴者サーヴィスから始まる作りとかを見て、そういうのを臆面も無く出して視聴者を油断させているあたりもう喧嘩売ってるのかとすら思うのだが、出来がこれだからねぇ。そういう萌えを前面に出しているという偽装で本作を敬遠している人がいたら、それはもったいないというぐらいの出来ではあった。扱ってるものがものだから忌避する人も多いとは思うが、個人的には昨今のアニメ作品の中では頭二つ分ぐらいは抜けてる作品だと思う。少なくとも構成はかなり飛びぬけてる感じだねぇ。