ばくおん!! 第1話

 女子高がバイクOKとかありえん。
 あんまりマジに主張してもなんだが、基本女子高というのは大体にして良妻賢母育成学校というのが歴史的にみて多いので、やれ自由な校風だとかとんがった校風というのはそもそも前提からしてありえない。そういう風潮が廃れてきたからこそ女子高が共学化してきたのであって、現在でも残っている女子高を志望するというのはむしろそういう面に共感するからこそわざわざ共学校を避けているわけで。もともと教育が女子には閉ざされていた頃までさかのぼる必要はないと思うが、普通にオトコを描きたくないから女子高にしたんでしょというぐらいしか。
 で、まぁ結局のところ女の子にバイク談義を代行させてんのかなと。ヘンな話、バイクも自転車も公共交通機関との違いは目的地までの(用途なども)ルートを自分で選べるってところで、それは自分を解放するって記号にもなるから、社会的通念を打破するという意味でむしろ女子がそれを志向するってのは別に筋悪ではないんだけど、そういう観点はほかの作品も含めてあまり見られないな。


 さて、実はこれは自分も自動二輪に乗ったことがあるので趣味の範囲で視聴したいと思っていたのだけども、正直あまりテキストの出来は良いようには思われない。が、それはある程度視聴し続けないと判断もできないのでなんとも。
 あと、友人と話していていわゆる趣味モノゝアニメ(というかサブカル作品)が流行ってもおかしくないのに、あまり隆盛をみないのはなぜか?という話になって、ちょっとこういうのも視聴してみようかと思い至ったというところ。しかし、解決策が見えてるわけでもないが、今まで視聴してきた自転車モノであるところの弱ペ、ろんぐらいだあす、南鎌倉と振り返ってみて、なるほどろんぐと南鎌倉がヒットしないのはそういうことかというところがひとつあり、それはやはり導入を基本としたらいけないんじゃないかというのがある。今までも少年少女をあるスポーツに引き込む作品が数多あったが、たとえば野球でいえば巨人の星を初めとする数々の作品、バレーボールならアタックNo.1、サッカーならキャプ翼、バスケならスラムダンクなど、初心者向けの解説作品は一つもない。さらに言わせてもらえば、それらの作品に時々見られる必殺技は現実にはありえない噴飯モノであるにも関わらず、言い換えればリアリティはないのに、その分野に引き込んでいた。それを考えてみると、初心者に、はじめるためにはこんな準備が必要ですよだとか、初心者もこういう楽しみ方ができるんですよという展開はウけないんだろう。もちろんスポ根モノの主人公は無知な段階から習熟して成長していく様を描くわけだから、ある意味主人公こそが初心者ではあるが、だからといって主人公にやさしく手ほどきをしてくれるという展開ではない。どれだけ丁寧に利点を主張しても、興味がない人間には興味がないまゝであるし、逆に丁寧に説明なんかしなくても興味を惹かれた人間は自分から進んでのめりこんでいくわけであって、要するにチュートリアルの出来不出来が重要ではないのがわかる。結局のところその分野の魅力的な要素をどう切り取ってくるか?というのが重要なのであって、そのへんが分岐点なんだろう。弱ぺ*1に嵌った大きなおねえさんが、それこそ高いものは50万〜100万もする高額なロードレーサーを購入したという話は聞くのだが、ろんぐや南鎌倉でそういうコアなファンが獲得できたか?と言われるとそういう話は聞かない。どちらかといえばろんぐや南鎌倉はもともと自転車愛好家とアニメ好きの重なりあってる層が視聴しているという感覚。ちっとも新規開拓できてるようには感じない。ゴールを示して興味を惹かれた人間に手順を示す*2のがよいのであって、手順を示してゴールに辿りつかせるという手法は手間の割に実入りは少ないのだろう。
 そういった意味では、今回、バイク部の部長が主人公をいきなりバイクに乗せて選別を行うって儀式はなるほどゝいったところ。三百代言費やしたところでバイクに乗って快感を得られるかどうかだけの話であって、これで忌避感を持たれたらあとゞんだけ良さを主張しても徒労に終わるだろうし、魅力を感じたらあとはすんなりだろう。この選別が重要なのであって、それ以上でもそれ以下でもないというのが本当のところではないだろうか。ある意味この作品も、初心者を引き込むという観点で見ればこの第1話で既にもう結論は出てしまっていて、あとはヾイク好きの馴れ合いでしかないんじゃなかろうか。

*1:これもかなり初心者向けに配慮した作品ではあるが

*2:興味を惹かせることができたら、あと手順なんて示さなくても勝手に自学自習してくれる