霊剣山2 第7話

 やっぱ容赦ない描写だよなぁ。
 七星門を従えるの巻。もうなんかいろいろ日本のテキストゝ違っていて驚きの連続。といっても本当に驚くってことではなくて、いかに日本のが生ぬるい表現かということ。
 命を燃やしてという術はやっぱり単に何も知らない民衆を騙してというものではなく、それなりに効果を使うほうも使わせるほうも期待してのことだったというのは予想通りだが、割と熱血な説明。このへん本場の虎穴にいらずんば虎児を得ずといったところか。七星門が攻めてきた段階で、もうそれはどちらかゞ追い詰められた証拠ということに他ならないわけだが、やはり経済的基盤を確立した主人公側は底力があったというべきか。
 この作品の面白いところは、対立組織を最初は(日本と同じように)悪玉として描くのではあるが、大体物語の展開部からあまり悪役扱いをしなくなり、対立のクライマックスでは割と対等になる点。その対等が結構尊敬が入り混じるので視聴しているこっちも背筋が伸びる感じ。昨日の敵は今日の友を地で行っているが、これは過去の日本の作品でもライヴァルといった言葉に代表されるようにあったものだが、こちらはやけにあっさりしてる。そのへん自分もどう考察してよいのか迷うが、日本だと大抵上下関係が固定されていて、昨今の企業でいう年下の上司に反感が大抵あったりするが、あちらはそういうのが表面上は顕在化しない感じのように見える。そのへんどうしてもコンプレックスは生じてしまうだろうが、それを物語のドライヴ要素に引きずるのが日本式であって、あちらはそういうのは描かないのかも。やはり歴史的に合従連衡の流れがあるから、マウンティングをやっても意味はないということか。いやまぁそのへん歴史的に外敵に侵略されたかどうかもありそう。こういうのを見てしまうと日本の階級制がホントばかばかしく思えてしまう。昨今は顕著だが、そもそも上に立つものが実力も度量もないのに好き放題やってふんぞり返るわけで、そこに新陳代謝はない。
 あと、今回見て特徴的だと思ったのが、主人公が弱みを見せるところにそれほど躊躇がないこと。もちろん作中では衆人環境を避けて、あくまで主人公の周囲の中だけでの話しだが、各人が主人公より秀でゝいる才能があるのであれば、それに頼るのも躊躇がない。日本だと主人公に弱いところがあっても、視聴後感ではやはり主人公は強いという印象が拭えないのが多いように思えるが、この作品を見ていると、主人公がピンチのときに、やせ我慢をして見栄を切るというのではなく、だらしなく逃げ回るって描写だったように思う。そういうキャラの強さと弱さの共存のさせ方が日本とあちらで違うというイメーヂ。
 いやまぁ士は己を知るものゝために死すというのが体現されているようで、そのへん結構心が湧き立つものがあるんだが、やはり日本のあり方とは異質。強引なやり方ではあるので、うまくいかなかったら崩壊も酷いことになりそう。かといって日本式の信頼関係の構築ってのにも胡散臭い感じがして、ようするに要求を押し通したい方が相手の協力を取り付けたいためにちっとも心の底では信頼もしてないし信頼関係を結びたいとも思っていないのに、やれ個人的な絆とかいって一緒に酒を飲んで仲間意識をでっちあげたりするわけで、そういうやり方が高度経済成長を成し遂げた後の日本をダメにしたのは間違いないわけだからして、別の方法に切り替える必要はあると思う。それがこの作品で示されたあちらのやり方の猿真似である必要は全くないのだが、しかし参考にして新しいやり方を模索しなくっちゃという感じかねぇ。