終末のイゼッタ 第1話

 うーん、なるほどなぁ。
 どの作品を感想対象にしようかとちょっと迷ってこれにした。それほど評判を調べたわけでもないが、テキストでそんなに評判になったという印象ではないし、この作品をお気に入りだという人が少なからずいて、スマッシュヒットゝまでは言わないが、かといって人気がなかった作品というわけではないという認識。端的に言えばフツーなんだろうな。オリジナルアニメということでそのへん期待したいところではあるが、初回放映も終わってこの評判だとまぁ微妙な感じ。そのへんカバネリと同じ立ち位置になってしまったのかな。
 第1話ということで、物語的にはそう何がよかったとか悪かったとかというより、気になった点を羅列してみる。

  • エイルシュタット公国はおそらく日本のメタファー。レッドフォード卿との対話で、優れた技術を持っているというところがあったことからもまぁそう考えるべき。が、フィーネが言ってた粘り強い国民というのは草生える。戦前戦中は特高とかの弾圧で黙り込んでほとんど時の政府に抵抗らしき抵抗をしなかったという認識なので、そのへん白薔薇とかシュタウフェンベルクとか居たドイツのほうがよっぽどなんじゃとか。まぁ単純に比較はできないけど。
  • ゲルマニア帝国はなんのメタファーかっていうと、具体的な国があるのかどうかちょっと想像しにくい。元首は台詞からすると皇帝とか言ってるからドイツ第三帝国というのとはちょっと違うというか、それからいろいろ拝借しているけど実際には専制であるとか強引であるという現実の何かを表しているのであって、過去あった第三帝国そのものという要素は薄いと感じた。違和感があったのはノイエ・ベルリンという言い方。もともとある地名に「新しい」というのを冠するのは、大体にして植民地の都市にありがちな命名法。現実のベルリン自体がかなり大きい都市なので、それを拡張するなり移転するなりしてノイエ・ベルリンが作られたのだとしても、おそらくそれは元のベルリンを否定する必要性、つまり歴史上なにか不都合なことがベルリンという名前の時点であったと推測するしかない。まぁ当て推量でいろいろ考えても設定がどうなのかは無関係なのでそのへんはおいおい明かされるのを待つしかないというか。エイルシュタットが日本のメタファーだからといってゲルマニアが、ではなんだろうか?と考えると、うーん、どう考えても中国や合衆国とも違うし、それ以外に適切な現実の国家も思い当たらないし、やはり抽象的ななにかやそういう要素を内包した組織とかそんなのなんだろう。
  • フィーネはもしかして退位を表明した天皇のメタファーかと思ったが、時間的にこの作品の企画は天皇の退位表明より前らしいからちょっと違うというか。いやまぁアベに対してなんらかの反抗をしたい勢力が退位表明もこの作品の公開もセッティングしたというのでもあれば話は違うがそこまではねぇ。まぁ現実の日本にはいない理想的なリーダー像を示して、こういうのを目指せって感じかねぇ。いまやエスタブリッシュメントなんていう単語は日本では権力を握ってはいるがノブレスオブリージュなんてものは皆無で、国民から搾取することばかりしか考えない特権階級って意味にしかとれないので、なんともそのへんファンタジー色は強まる。
  • イゼッタだが、これは不明。彼女に持たされている魔法は立ち位置からすると権力というよりは事態を切り盛りする技能だとか技術ぐらいに留まると思っている。赤毛であるというところから単に異能の存在というよりは異端という意味合いが持たされているのではという気はする。

 特にこれがおかしいって感じでもないし、それなりに描写や設定には記号が仕組まれているようにも思えるので、その全貌が明かされるとも思わないが、まぁそのへんボチボチあーでもないこーでもないと考えながら観賞していくつもり。