響け!ユーフォニアム2 第10話

 えーっと、いくら書き取りを繰り返しても意識が他のことに向いていると意味ないと思うよ。
 あすか先輩の復帰にいたるまでのあれこれ。うーん、なんかわかりにくいな。おそらく一番正解に近いのは、あすか先輩を久美子が呼び出してのシャウトで、あすか先輩が復帰を決意して母親を説得したと素直に見る流れなんだが、自分的にはどうにも引っ掛かる。その一端は模試の成績について担任があすか先輩を呼び出したこと。これ、普通教員が自分の判断で特定の生徒の成績がどうだったというのを個人的に呼び出すはずがない。おそらくあすか先輩が模試の結果が出たら教えてくれとあらかじめ頼んでおいたと考えるのが普通。だとすると、あすかはもともと模試の成績をたてに部活動復帰の交渉をすると決めていたと判断するしかない。となると、おそらく模試の成績を上位に持ってくるためにわざわざ決意して猛勉強をしてたはずで、かなり周到な準備をしてたと判断するしかない。そう考えると、前回あすか先輩が久美子を自宅に招いて勉強会をしたというのは、まぁ口実であって、あれだけ楽器と自分の由来、どうしてもコンクールに出たいという思いを久美子に伝えたのは、やはり言外にそれだけ思いが強いから自分は部活動に戻るつもりである。しかし模試の結果が出ないことには交渉の段階に踏み込めないし、ちょっとのあいだ不便をかけるが待ってろというのを伝える役割があったと考えるべき。模試の結果がふるわなかったら復帰はできないし模試の結果が良くても母親との交渉で復帰を認められるとも限らないから、そういう不確定要素があるうちは自分がどうするか他人に伝えることは迷惑をかけるので言わないってだけの話で、ヘンな話、久美子があすか先輩を呼び出してシャウトの場面ではあすか先輩の気持ちは既に決まっていて、他人にどうこう言われて変える性質のものではなかったと考えるべきだと思った。
 だからまぁ、なんというか、あのシャウトの場面は、最初視聴している間は、古典に良くある求婚のフォーマットだと思いながらぼんやり眺めていて、要するに自分を否定する言葉を繰り出すのは相手にそれを逆否定*1してもらいたいからという構図だとずっと思っていたわけで、個人的には模試の成績で母親を説き伏せた云々のところでずっこけたというか。
 いや、自分は原作を読んでないのでそのへん的外れになるかもしれないのだが、原作者がそのように意図していたのならそれはむしろ正しい。あくまで読者の視点を主人公(久美子)の視点に同一化させて、主人公をふりまわすことによって読者も振り回すという構造なのだろうから、終わってみれば久美子の空回りという結果になったというのは原作者としては成功といえる。となると、アニメ化に際してその久美子の空回りの要素を薄めて全体的に感動の超大作!って形にしたのは筋が悪いということになると思うのだが、そのへん視聴者によるからなぁ。でもまぁキャラクターの中ではあまり努力のあとが見えない主人公が一時の昂ぶりであすか先輩に感情をぶつけたらそれが彼女を突き動かしたというよりは、さまざまな困難を抱えながらも努力も我慢も積み重ねていたあすかは最初っからそれらが実るのをずっと待っていたというのが、キャラクターとして与えられた性格からしてふさわしいとは思う。久美子とあすか先輩のどちらが物事をどれだけ正確に把握しているか(どちらがより大人か)はそれぞれに与えられた台詞から一目瞭然だし。
 でもまぁ原作もラノベではあるので、アニメはそれなりに原作に忠実であるって可能性もあるからどうにも。まぁ今回の話を見る限り、もうちょっと考えたほうがよかったんじゃねぇのぐらいに引っ掛かりはした。そりゃ各人の思惑がどのように落ち着いてという繊細な作り込みをしたところであまり意味は無く、結果をいかに感動的に提示するかを考えたら別にこれでも正解ではあるんだけどねぇ。

*1:要するに相手に自分を肯定