響け!ユーフォニアム 第10話

 そういやあと3話なんだな。
 前回あたりから一気に密度が大きくなった感じ。再チャレンヂの件は最初冒険するなぁとか考えていた。大人の世界なら間違いなく買収合戦するだろうってのは日本の政治というか選挙制度を見ると明らかなのでその反映を想像してしまったのだ。もちろんこんな意識高い系テキストでそれをやるはずはないのだが、割とこういうのは現実にあったら?と考えるとその後の指導者のコントロールを考えるとあまりやるべきことではない。が、むしろ生徒の自律を促すためにはやってみても教育上よいということもあって難しい。かなり生徒の質によるとしか言えない。とはいえ、自分が高校生の頃(高校ではブラスバンドに入ってなかったが)は、ブラスバンドに限らず顧問はあまり部活動に口出しせず、部の運営の深い部分まで生徒自身が関わっているところも多かった。というのも、今のほうがイカレてるんじゃないかと思うほど、部活動で成果を出すことが求められているように社会が変化してしまっているので、今ドキのそのような傾向に慣れている人は想像しにくいだろうが、昔はそれほど大会で勝つということが、学業よりもというか全てを差し置いて優先されるという状況ではなかった。今はもう学業保障なんて諦めるしかないから学校の特色作りといって部活動にリソースを注いで、生徒の取り合いだとかリソースを優先して特定の部活動に投入するってことになって、学校教育という全体の括りでみるとかなり歪な構造になって酷いことになっている。昔は大抵強豪校に優秀な生徒が集められたら残りの学校は部活動は教育活動の一環として取り扱われるところが多く、生徒の自主性に任せるというところもそれなりにあったのだ。ガキ大将が近所の子供を従えて集団を形成し、年齢の大きいものが小さい子の面倒を見る*1ということが行われていた時期には生徒の自主性にまかせてもオーケーであるが、その後保育園が一般化するにつれ子供が自主的に成長する環境は失われていったから、生徒が部活動を運営するにしたってなかなか難しいことになったと思われる。そして社会全体が学校に対してお客様意識で相対することになったからモンペなどの問題が頻発し、特定の地域では一般化したところもあるだろう。モンペは自分の要求が他者に対して理不尽かどうかなんていう判断力は働かないから、そういうのを生徒も当たり前と思っている学校や地域だと、このような生徒に判断させるという方法は組織がめちゃくちゃになるし、それが常態化することによって今大流行のいじめがあたりまえになってしまう。
 しかしまぁ、今回の話をみる限り、顧問同士の音は嘘をつかないってやりとりのあたりから、おそらく高坂と香織先輩の力量には明確な差があり、それは生徒が比較して聞いても明らかであるという設定になっていると思われる。もし高坂のほうが実力は上だとしてもその差は僅少という設定なら、オーディション結果の発表で、生徒の反応をみた先生に「あぁ、やっぱり揉めるか」みたいな表情をさせるはずなので、それがない上にあすかその他の香織に近い3年生の反応を見てもまぁひっくり返ることは無いでしょ。とはいえ、再チャレンヂまでに香織が必死で練習して演奏のクォリティが上がり、高坂がメンタル面で自滅して実力を発揮できないって展開にしても齟齬は発生しないからどっちに転ぶかはわからないといえばそう。

*1:姉兄が妹弟の面倒を見るも同義