WWW.WORKING!! 第11-13話

 なんかホントに評価に困る作品だな。
 前期までがシリーズとしてあまりにきれいにまとまっているので、今期のこの作りはこうなんともダイヂェスト風味が強くて丁寧さには欠けるんだけど、どうなんかな?。作画に関しても、前期までは主人公の恋愛ラインを極めるために、スタッフ自ら伊波のかわいさ重視で作画してますってことが述べられていたわけで、今期はなんとも低予算アニメっぽい作画だから全然仕上がりが違う。ほんでもっていろいろ歯抜け感の強い脚本だと前期の出来を期待した層にとってはあまり高評価が得られないのは最初っからわかってたこと。それでもなんとか予算がついたから作ったのではあろうが、そのへんの真意が知りたいぐらい。でも金を遊ばせておくゞらいなら、事業を起こして収支トントンなら、仕事をした分だけ実績になるので、アニメ化しとけということにはなる。連載終了した原作つきなら、アニメ化が失敗しても原作に悪影響が及ぶわけでもなく、評価はアニメ制作会社に行くだろうから、出版サイドは損害は小さいとも思うし。
 結局最后まで視聴し終えても、前期までが現実にはありえないお花畑的理想の職場だったから、それをリアリティ寄りに現代性を持たせてみましたという方向性を感じる。キャラは前期までと同じように誰もが欠陥を持っている形にはなっているが、本作のカラーとは裏腹に今作のほうがむしろその程度は軽い感じになってる。なんのかんのいって最低限の接客はできるという設定だし、女キャラの攻撃性が大きくなっているぐらいで、社会生活にそれほど支障があるようではない。
 で、今期全体を通じて何が起こっていたかというと、男女のペアリングはもう既に決まっていて、女の荒ぶる魂をその相手が如何に鎮めて受け入れるかという物語になっていて、あぁ、これが女も見た男女の現実なのね…というのを見せつけられた感じ。おそらく鬼女板や生活板からの抜き出しであるところのまとめサイトさんに目を通すとおかしな人々の行動が記されているのだが、まぁそれは大半がフィクションではあるのだろうけどたとえ1割でも現実だと考えても割と酷い現実が横たわっているんだなぁと思わされる次第。ちょっと前はかなり女が共働きもし家事もほとんど請け負って負担が男より大きいよって感じだったのが、最近はほとんど女の奇行がこれでもかとエントリー化されてる。
 結末はペアリングが完了していかにもハッピーエンドのように仕立てられているように見えるが、それは物語の体裁を整えるためであって、現実をオブラートに包んでいるだけである。
 しかし、メシマズ嫁だとかメンヘラ、不登校に育児(これはまだ肯定的な主張。本当なら子供が職場で泣き喚く姿を描くべきだが、それやると子供を職場につれてくるなよということになる)、片親率大きいなど、社会問題(個人的な問題が多いが)を入れ込んできたなという感じ。この職場大丈夫かみたいな台詞を繰り返していたし、今期はどう考えてもアジールとしての役割はほとんどない。前期までのシリーズは非正規の割合が高校生と成人で半々ぐらいだったが、今期は高校生は二人しかおらず、今期はエンディングで半分近く辞めてる。人手不足なのはどちらもだが、前期までのシリーズだと他に行くところがなくてワグナリア(だけ)が居場所になってたが、今期はワグナリアのほかに行くところはないって感じではなかった。安住の場でないから視聴者もワグナリアに対してそれほど愛着を持つこともない。
 個人的には永田の扱いがアテ馬みたいな感じで、ちょっと残念。役どころが柳葉の支え役になって不登校も(どうせ学力保証のあてなんてないのだから)学校に行かなくてもオッケーの流れになって、これも主張の一つなんだなとは思ったが、永田も就職したり結婚したりすれば柳葉との繋がりも消滅するのであるから、これも通過点の一つなんだなと思うとやはり使い捨て感ある。
 小鳥遊編と比べて東田編は、話運びの丁寧さに難があって、それは尺の長さや予算からすると仕方のないことではあるのではあるがクォリティは低め。だから小鳥遊編に比べて意味がないかといえばそんなことはなく、小鳥遊編でキレイ事を目にして夢見心地になるのはよいが、この作品が決して現実を活写したというほどのものではないかもしれないが、でもこの東田編を視聴して現実ハンマーで殴られて目を覚ましてくださいってことはいえると思う。少なくともあっけにとられる現場を目にしてキャラ達が呆れて発する嘆息は、きっと視聴者が現実に発するものと同質のもので、共感度合いは東田編のほうが大きいと思う。できるならそういう理不尽な目にあう場面に第三者としても当事者としても出会いたくはないだろうけど…。