弱虫ペダル Grande Road 第3話

 自身が物語性を否定するから…。
 個人的には待ちに待ってた御堂筋の過去話。というか、原作者酷ぇな。人の死を背負わせて盛り上げた末に負けさせるとか…。ある意味友情なんてちゃんちゃらおかしくて、彼の根源的なモチベーションを語らせてこの結果とは。結構酷いことを彼に語らせてたが、別に致命的なズルはさせてないし、彼自身努力しているところも見せてこれかよ…。
 といっても、なんというか、特に高校野球(高校野球を題材にした作品というのではなく高校野球そのもの)なんかゞそうなのだが、個人がすべてを犠牲にしてそれにつぎ込んで、それで失う姿を描くからこそ観客は感動するのであって、これはその応用といったもの。幼少時から何に関しても恵まれ、たいした努力もせず得た勝利も敗北も、他人がそれをわかった上で見るからにはそこになんのドラマ性も感じないわけで。
 うーん、しかし、面白いな。普通御堂筋のような過去を設定するからには例えば昭和期ぐらいのこういう作品はむしろ御堂筋は善玉に仕立て上げるもの。原作者は意図してこういう性格付けにしてる。御堂筋のような性格付けを裏づけする過去はどうしてるんかな?。まぁ小学校でいじめられてたからひねくれたと捉えることもできるんだけど、彼自身自転車に関しては暖かい思い出のほうが圧倒的に多そうだし、過去の自転車レースでの勝負方法にしても彼の言説のほうが正しそうにも思える。彼が引き取られていた家族でも冷遇されてひねくれたと考えるには今回の描写はそれほどでもないし、なんかどうしてあゝいう性格なのかという理屈付けはちょっと弱い感じはする。
 しかし、なんだな。幼少期から乗ってたのがデ・ローサという高級車かよ!というのはさておき、彼がこのインターハイで乗っている自転車はおそらくその幼少期の自転車を大切に乗り続けているのだろうというのが窺える。彼自身成長して身長も伸び、到底小さなフレームサイズのは乗りづらいはずなのだが、少しでも体に合うように、シートポストは長く、ステム(ハンドルを取り付ける棒にあたる。)を長いのにしてるのはおそらく母との思い出の詰まった自転車に愛着があり、それを使って優勝することにこそ意味があると考えているはず。そういうのを仕込んでなお彼を嫌われ役にするんだから原作者も思い切ったことをするものよのう。