クロスアンジュ 第23話

 うーん、もう店じまいだね。
 というわけで、どうせエンブリオの野望も果てるだろうし、もしかすると最后になにかどんでん返しが仕込まれているのかもしれないが、大勢に変化はなさそう。広げた風呂敷というか、いろんなところにちょっかいを掛けていた要素を回収するモードに入っていて、それはそれで悪くないんだけど、ちょっと行儀がよすぎる感じがしてちょっと残念。そもそも落ちぶれた残存軍が、同盟があるとはいえなんで勢いある敵主力に均衡できるのかというところはツッコんでも仕方がないが、やはり物語に勢いをつける以上戦力差には視聴者に気付かせないほうがよいのだろうね。
 アンジュが逆切れ愚民を射殺なのも、タスクが生きているという描写があったから興醒め。そのへん命の軽重に差をつけると残念なことになるとしか。生まれつき身分差があるというのは、そりゃ理想は平等だとしても現実は平等でないからそれはオッケーなのだが、身分が高くとも低くとも死んでしまえば同じ命ってのもそれもまた真であるので、死んだと見せかけて死んでなかったという描写だろうと、やはり命が二つ三つあるというのを想定させてちゃ脚本書きの負けだと思うんだよね。
 いやまぁ風呂敷の畳み方はさすがに巧いので、これはこれで楽しめるんだけど、なにかもったいないというか。もともと三文芝居の手法を使っている本作品に対して適切な批判だとも思わないんだけど。やっぱ命の値段に違いはあれど、各々一つしか持ち合わせていないという線は守って欲しかったかな。