やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 第13話

 コレで引きかよ…。
 本当に今回が第2期の最終回なのか…。まぁ原作は続いているようだし、そのうち第3期があるのかもな。とはいえ、最后のシーンはいろいろとボかしながらもそれぞれの未来の「予感」を暗示していて、あとは脳内補完してこの物語はこれでお仕舞いっていう風にも見えるので、続編がなくてもいちおう終わったという形にはなっているのかな。
 うーん、視聴している最中はメインキャラの思惑だとか苦悩だとか真に迫る感じでよくできてんな〜とは思っていたが、こう全体が終わってみると実は雪ノ下姉の言ってることがピタリと当て嵌まっていて気持ち悪いぐらい感心する。というか、陽乃の台詞は、毒々しく見えてその実「本当のこと」しか言っておらず、あまつさえその台詞が向けられたキャラの本心を代弁しているとさえ言える。
 例えば前編の戸部と海老名の依頼の件について言えば、それまでの比企谷なら別にあのくらいの嫌われ役ぐらいならやって当然のはずなのに、雪ノ下や由比ヶ浜があまりに心配するのでそれで傷ついてしまって、次は誰も傷つかない方法を目指すと反省をする。一色の選挙の件も、これも別に比企谷が最初に考えた案を粛々と実行するだけで(それまでの彼だったら)何の問題もなかったのが、彼をかばおうと雪ノ下や由比ヶ浜がわざわざ自己犠牲を買って出るもんだから、彼は彼女達を守るために別の案を検討することになる。クリスマスパーティーの件では、ようやく奉仕部の全員が仲良く問題を解決するという形になり、料理教室ではもう馴れ合いとしか思えない人間関係に成り果てゝしまっており、そこには陽乃(視聴者)が比企谷に期待していたキレはもう見られない。中学時代に一緒だったクリパの協力校にいた女子キャラの存在で、比企谷は昔からリア充になりたがっていたわけで、今期の保健室での雪ノ下との描写あたりではようやくそれが実現したのは(少なくともアニメ描写では)明らかであり、これは第1期を視聴した限りではタイトルにあるラヴコメがどこにあるのか?不思議に思っていたのだが、これがこの第2期で実現していて、しかもそれはおそらく比企谷が「本物が欲しい」と述べている通り、そしてタイトル通り「まちがっている」ことが示されたのではなかろうか。
 奉仕部に限れば、誰も彼もが不器用で素直でなかったのが、比企谷の自己犠牲を厭わずに問題を解決する姿に感化され、いつしか不器用ながらも自分のことではなく相手のことを考えて行動する姿にちょっとずつ変化させられてお互いが意識をし合って恋愛感情に至るというラヴコメの流れを走っていたことに気付かされる。自分なんかはトラブルシューティングを通じて人間関係の難しさを描写するものかと思っていて、それを通じて社会のあり方に考えを至らせるとかそんなのが本筋かなんて思っていたもんだから、なんか視聴者(読者)の共感を得るために随分と手の込んだことをしているもんだとびっくりせざるを得ない。
 で、恋愛感情云々は別にしても、この時点でそれまで疎外感*1に苛まれていたことから解放されて、彼らは欲しかったものが得られたという状態になったんだけど、それは「本物」ではなく、「まちがっている」というわけだ。とはいえ、以後正しい方向を目指すにしてもそういう流れになるとは限らない(そうなってしまえば話は終わる)。陽乃がおそらく思っている通り、どいつもこいつも色ボケしやがって、目を覚ませというわけだが、そのへんどう推移するかだわな。誰にも配慮を行き届かせる仲良し集団になれたからといって、そういうのは社会に出たところで何の役にも立たないのが現状であって、しかもその配慮は実は恋愛感情に裏づけされているだけであって、一歩間違えば全てが台無しになる要素を内在している非常に危険な状態ではあり、そのへんの綱渡りの危うさを描くのかどうか。そういう意味でも実はもうこの作品は物語として終わっているのかもしれないわな。
 というわけで、トラブルシューティングの描写に突き抜けたものを感じもし、優しい感情の繊細な表現には舌を巻くばかりで、感情のスイッチをうまく押してもらった感じはもうやられたって感じではあるが、トータルの完成度はこの第2期のほうが高いにせよ、第1期のようなハラハラ感がちょっと足りなかったかなという気はした。第3期があるならぜひ視聴したいがあるかどうか。おもろ+かなやっぱり。

*1:由比ヶ浜はつきあう仲間はいても心情的に疎外感がありまくりだった