異能バトルは日常系のなかで 第7話

 日常話をだらだら続けるのかと思ったら。
 前回の担当ヒロイン以外は脇役という話を請けるとすると、本来だったら話が合うもの同士の主人公と灯代の関係に鳩子が嫉妬するという、こういう話にありがちな選択肢がもう本当にきれいさっぱり排除されているのにワロタ。こゝまで切り分けされていると清々しさすら感じる。リアリティがあるのかないのかわかんないけど、これだけ人工的な加工をするというのも驚きの範疇ではある。
 鳩子の心の叫びが見所というのをお某所で見て期待していたんだが、正直なところ勢いだけで期待はずれだったかな。もちろん演技が悪いというのではなく、台詞を聞いている限りかなり冷静であって、いやそれがしっかり者としての鳩子のキャラクターをあらわしてはいるんだろうけど、いかにも作り物って感じがしてちょっと苦笑もの。
 趣味が合わないカップルとか、奔放な相手に対する日ごろの鬱憤だとか、そのへんラノベに限らないテーマを扱っていて、処理の仕方によってはそれなりに面白いものにできそうなんだけど、結局のところ次号予告のことも考えると、日常から非日常に遷移するための臨界点を描くためであるという要素が強くて、関係性を深く描写するというところは流してしまったという印象を持った。
 まぁなんというか、この作品の方針からして、そういうドラマとして深く掘り下げるということを奇妙に避けているのが流儀というように思える。登場人物たちは徹底的に中二病世界を生きているということであって、鳩子は立ち位置が真っ向逆なんで、だからこそ彼女が中二病的世界観を拒絶した瞬間に、まだ日常を保っていたところから、中二病世界に突入するという流れになっているんだろう。まぁそういう構造自体は面白いんだけど、物語に織り込まれている要素のすべてがなんらかの現実のメタファーとして、対応がしっかりしていないと単なる現実味のない思考実験でしかなくって、むしろ鳩子の立場と同様に「勝手に盛り上がられても」という風に思ってしまう。まぁそのへんひっくるめてやはりこの作品のモチーフである「中二病的世界観」を徹底的に味わいつくすってことなんだろうけど…。