弱虫ペダル 第38話

 え?、これで終わりなの?。
 といった感じだ。次に繋げるにしてはもうちょっと〆方がありそうだけどな。まぁラブ☆ヒメにかこつけて2期決定としたのを本当に続編があると見ているが、なんかそれにしてもなぁ。と思ってアニメ公式見たら10月から2期か…。なんだろ?、本当は続くことができるんだったら切れ目無しに続けるつもりが、製作がどうしても間に合わないので1クール時間を貰いましたってところなのか。まぁ2期があるならまとめの感想を書くこともないのかな。
 まぁ単純なストーリーでありながら、結構楽しめた。ちはやふるあたりに似ているような気もするが、こちらはどちらかというと男臭いものであって、主人公はどちらも天然、天才肌(千早は努力家という描写があり、ライヴァルに圧倒的な天才がいる)で、京都キャラがイヤミなところも一緒。やはりチームということもあって、自分の頭に思い浮かんだのは組織論。そうなるとむしろ咲との比較になるのかなとも思うが、前にも述べたとおり、こちらはクローズアップする組織が今のところ3つしかなく、絞られている感じ。部活で有りながら顧問の影がとても薄いので、やはり部活をネタにしていながら、キャプテンをトップとするむしろ企業あたりの組織がとても近い。箱学は昔の日本の大企業に見られる大家族主義的なもので、実力主義にはなってはいるものゝ、割と社員を抱え込む形態になっている。京都伏見はいわずとしれた近年の日本のブラック企業。トップが違法手段を使ってのし上がり、それを糧に社員を奴隷のようにこき使うアレ。総北はどうなんだろ?、今流行の横型リーダーシップか?と言われゝば、金城のリーダーシップを見るにそれは明らかに違うし、自分の感覚では昔の日本の中小企業に近いという気がしている。まぁ作者あたりはそうは考えておらず、ブラック企業もしくはそれほどまでゞはなくてもブラック企業色がどの会社にも色濃くなった日本の組織全体のアンチテーゼとしての存在だろうね。主人公の小野田坂道は、今となっては日本の大企業にはとても新卒では入れないキャラクターだ。大企業に入れないから、だからブラック企業にでも入るしかないか?と言えば、おそらくやはり面接で落とされるタイプだろう。彼はおそらく就活には成功しないタイプで、だからこそ今泉だとか金城だとかに目を付けられて、“育てられて”組織に馴染む。まぁ彼が組織に馴染んでいく様子にはあまり感心しない要素もありはするのだが、全体で見るとそれなりの待遇を得ているように思われる。実際の組織の特徴は、もちろん上述の通り現在の大半の日本の組織へのプロテストが物語上で行われているので、結果がファンタジーであることを除いて普通に見ていれば誰にでもわかりそうなのでこゝでは省く。少年向けでありながら腐女子のファンも獲得するだけでなく、おそらくかなりの年齢層に幅をもって受け入れられていそうではあるが、それはやはり日本のそういう組織のだらしなさ(会社組織だけでなく、内閣国会を頂点とする公務員全体*1に関しても)への不満が積もっているのが根底にありそうである。本来組織の包容力はまともな時代だったら、賞賛を持って受け入れられたりせず、むしろあたりまえと切り捨てられるか、ヘンな話御堂筋のように結果がすべてだという風になるのが普通。それだけ日本の組織が組織としての体をなしておらず、むしろ足かせにしかなっていないという日本の現状が炙り出されているだけなんじゃないかと思う。
 キャラも、題名のように弱虫はどこにいるんだろう?というもの。前述の通り、主人公の小野田は、弱そうに見えるが、彼の目を通して自転車の世界を視聴者に疑似体験させるために、むしろ驚異的な能力を持たされており、彼自身くじけることがほとんどない。ヘンな話一番の弱虫を探すとすれば後半その姿を晒したのは弱泉くんぐらいのもので、あとは物語をジェットコースターのように振り回すために個々のキャラクターを揺さぶったゞけ。悪く言えば、これは本当に弱い人間は切り捨てられている。能力がないと物語に登場することができないという皮肉だ。
 まぁそういった意味で、なかなかにして厳しいものではある。これはかなり繰り返して言っているが、自転車レースで速いということは人間社会全体を何か豊かにするとか弱いものが居場所を与えられるとかそんなものではなく、限られた条件で時間の長い短いを競うだけのもので、まぁいうなればやはり競争社会の申し子でしかないんだよね。誰にでも楽しめて、その楽しさには幅があっていろいろな幸福の形を提供して…ってんでもないし、でもその目標に向かって協力するとか自己犠牲だとかに酔わされてなんか頑張ることはいゝって感じになっちゃう。作品中でもわりかし楽しむことが重要だという主張がなされているが、そこらへん人間の動物的な獰猛さとそれをコントロールすべき理性の部分がまぁ色よくミックスはされているわな。
 いろいろ後ろ暗いことも述べたけど、自分はわりかしスポ根は嫌いじゃないし、視聴全体の目的であるレースの醍醐味をこのアニメで学ぶってのは十分達成されたので、かなり満足してますよ。録りだめになるかもしんないけど、2期はやはり見たいと思うし。 
 

*1:恐ろしいことにいじめなどへの処理能力を全く失っている学校などについてもそうであり、もうまともだといえる組織がどこにもほとんどない