緋色の欠片 第二章 第8話

 駆け落ちの巻。
 珠紀が生贄になるのを彼女も拓磨も恐れてのことだが、では代わりに鬼切丸の騒動をどうやって収拾つけるのかは決めていない模様。なんか推移を見る限り、婆サマが封印を守る動機も今一わからないな。たゞ、おぼろげながら、鬼切丸は権力のメタファーで、婆サマも典薬寮の芦屋もそれに取り憑かれた愚かな人々であるらしい。彼らはおそらく鬼切丸の役割をわかっていないか、誤読しているっぽくって、そこらへん今の日本の政官財あたりの欲ボケ間抜けっぷりと大いに重なる部分がある。婆サマには、もはやリーダーとしての資質は全く感じられず、面子を保って仕事をやり過ごすという態度しか見当たらなくなってしまった。
 覚醒もよくわからんな。もしかしてそういうものは無いのかもしれないね。今話の最后の珠紀の覚悟がトリガーなのかなと思ったりするんだけど、かといって次話に覚醒するとも思えないしな。いや、婆サマを超える能力の持ち主だということだし、覚醒するならクライマックスに盛大にってことかもしれないし、覚醒とか実は無くって、珠紀の才覚や覚悟で事態を乗り越えていくことこそが玉依姫としての覚醒だったりするんだろうかとも思ってみたり。まぁ絵面的には才覚で乗り切るよりは、やはり見せ場での玉依姫の力の解放なんだろうけどな〜。
 うーん、結構権力側の薄汚い欲望の提示がありながら、実は恋愛要素に惹かれてしまった。駆け落ち同様の逃避行は、「あ゛〜、若いっていゝよね〜、でも思いだけじゃ長続きしないよね」とか思いながら、でもこういうのをやってみたいとも思ったり。珠紀がよい嫁っぷりなんだよ〜。