咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A 第16話

 そこで中田譲二のナレかよ。
 予想と外れて、各校の絆が強調される構成だった。うーん、でもなんだろ。感情はゆさぶられるんだけど、急いで〆ましたって雰囲気は拭えない。今ちょっと番組視聴で頭がいっぱいになっていて、正常な判断が下せないんだけど、〜第12話までのテンポがゆっくり目だったような記憶があるので、折角全15話を全16話まで引き伸ばすことができたんだから、あと2話ぐらい伸ばして間を取ったほうが仕上がりは良かっただろうにと思ってしまう。
 しかしこの延長部分に入るまで灼や穏乃が今一パッとしねぇなぁと思っていたんだけど、なんとか存在感を示すことが出来たんじゃないかな。たゞ、阿知賀編っていうぐらいなんだから、もう少し主人公としての穏乃は見せ場があってもよさそうな気はする。穏乃が一人で山を駆け巡り、その経験が自分と向き合う時間になり、人との繋がりに頼ることのない自分自身の強さにつながるというメッセージは伝わったので、それは収穫なのかな。今やたらコミュニケーション能力だの、仲間との絆だのとか言われているんだけど、新道寺女子の江崎じゃないが、実際問題政治によって積極的に国民の個人分断化が行われている以上、一人一人が家族の絆すら超越して自分自身の生き方を模索しなければならなくなっている現状だと、穏乃のように他人と切り離された環境で自分を見つめる機会は必要になってきているんだろうなとは思う。この作品の穏乃の場合、個人が他を寄せ付けない人格ではなく、あくまで他者とのつながりもバランスよく保てゝいる状態が提示されているので、やはりその辺考えられているような気がしないでもない。園城寺と清水谷の繋がりも、先を見通す力に回数制限を課しており、また新道寺の倍あがりもそれ以外のあがりがなかったことから、限界があるという描写なんだよね。絆は確かに他人にそれ以上の力を与えるものではあるんだけど、それだけにこだわると成長余地が全く失われているという提示にはなっている。かといって白糸台の1年のように、個人としての力を過信すると…という描写もなされていて、これは必要充分なものになっているような気がする。
 さて、もう精神的な余裕がないので総評なんだが、結論を述べると評価はおもろ+。間が充分に取れていないというのは評価を下げる要因にはならず、やはりメッセージ性を考えるとそういうものになってしまう。自分としては第12話から第13話までかなり時間が経ってしまったせいで、連続して視聴したらもっと気合が入ったろうにとは思うが、それは自分の視聴スタイルによるものでしかない。所詮エース達の物語でしかなく、努力したからそれが素直に結果につながるというわけでもないのが現実であって、そのへんファンタジーでしかないんだけど、そのへんの設定はちょっと甘いかなという気がしないでもない。阿知賀が決勝に進出というのもやっぱファンタジーだなと思わなくもないんだけど、阿知賀の強さも弱さも描いていたので、それはそれで悪くはないのかな。
 どうも原作がようやく阿知賀編も終わって間もなく、ようやくこれ以降の全国編って段階だから、続編が作られるのは原作(が終わる)のストックが溜まってからということになる。果たして何年後の話になることやら。