うーん、資本主義の不可逆的進行って怖いねぇ。

 安倍政権の再来でまた旧弊が取り戻されてしまったというか、なんか麻生政権時より悪化しているような気がしてならないんだが、ネット界隈ではアベノミクス賛辞で脳に蛆でも湧いたような騒ぎになっている。
 日銀の緩和といっても基本日銀は超低金利市中銀行にカネを貸し出すだけなんで、銀行が大企業にカネをまわすのか、それとも中小企業もしくは貧乏人にカネをまわすのかは素人でもわかりそうなもんだ。中小企業・貧乏人にカネが行き着くにしてもそれは大手金融を通じてでしかないので、結局高利子分だけ貧乏人からカネを大企業・富豪側に移動させるだけでしかない。しかも今はモノが溢れて売れなくなっている状態なので、財の量は一定、すなわちその状態でカネが溢れゝば当然にして貨幣の価値は下がる。給料は上がるにしても数年後、上がったとしてもボーナスなどの一時金でしかなくスグ下げられるものであるわけで、実質給料は物価上昇率ほど上がらないと見たほうが良い。しかもモノが溢れているということは過剰生産力が問題となっているわけなんだが、生産を減らせば売り上げが落ちるし、そうなると利益を上げるためには人件費を減らす方向に行くしかない。一人当たりの人件費が下がるとなると給料が減るということだし、生産性が向上すれば人は要らなくなる、つまり雇用が減少するわけだ。高度経済成長期やバブル後数年は生産を増やせば増やしたゞけ売れた。高度成長期は国内消費が供給を吸収しつくしたし、国内で消費し尽くせなくても高度経済成長後十数年は海外に売っていればよかった。でも今はそういう時代じゃない。インフレにすると単純に給料が増えたり雇用が増えたりするわけではない。
 だから日銀が通貨価値を出来るだけ毀損しないようにしてきたのは全く正しいと言わざるを得ない。日本国内の財の量が一定であれば、インフレは結局のところ貧乏人と資本家の間の財の割合を変えるだけであって、要するにそれは格差が拡大するだけのこと。そうなると行き着く先は暴動だ。さすがに革命が起こるような事態になると共産主義になるのを阻止するために日本に駐留している占領軍が動くだけなのでそれはありえないのだが、政権が今まで以上にコロコロ変わる事態ぐらいにはなり得る。結局日銀の緩和策を望み、喜んでいるのは資本家ぐらいのもので、あとはマスゴミの宣伝に弱いB層がなんとなく雰囲気で喜んでいるというものだ。驚いたのだが、デフレデフレと今まで言っていたのはそれはパソコンだとか電化製品の値段が驚くほど下がっているからだ。そういやラップトップパソコンが昔は一台しょぼい機能で40万もしてたのが今や3万を切る時代だ。そういう製品は確かに値段が下がっていると見て良い。が、食料品は徐々に上がっている。ガソリンなども15〜20年程前にはリッター80円だとか90円だとかの時代があったが、一時期160円ほどに高騰したものゝ、今150円ほど、つまり燃料は確実に値段が上がっている。要するに生活必需品は実はインフレになっているのだが、電化製品のデフレが著しいから全部平均してヾフレとなっているだけだ。教育費も高騰しているし今や携帯電話の通話料は固定費といってよいほどになっている。
 が、国民が必要最低限の消費しかしなくなってしまったらどうなるか?を考えると恐ろしい。内需で食っている産業は潰れてしまうことになる。そうなると国内の財が減少することになり、相対的にインフレになってしまうのだ。橋本内閣のときに酷かったのだが、それ以降の10年でも廃業した企業は実は多く、もちろんITなどの新規産業も立ち上がってはいるのだが、昔とくらべて財の構成が著しく変動しているという状態になっている。無くなった商品の価値を取り消して新商品に価値を与えるという作業が昔より頻繁に行われているという状態なのだが、そういう地味で見えない作業をマクロな視点で行っているのが日銀と見るしかない。企業が新製品を作れば周辺のフォロワーが類似商品を見境無く作るし、しかも作ったものがすべて売れるわけでもないのでそれに一々価値を割り当てゝなんていられないし、実際にできない。
 円高円安もおかしな話で、加工貿易を指向する限り、原料費のほうが安く製品のほうが高いんだから当然貿易黒字になる。輸出企業が輸出をすればドルを円転して決算しなければならず、当然にして円高になる。円高だと輸出企業に不利と言うが、円高の原因が輸出企業の活動そのものなんだからバカげている。結局輸出企業の尻拭いをするために市場介入を続けてきたわけで、そのカネは市中から調達するわけで市場から貨幣が引き上げられゝばそりゃ金回りは悪くはなるわな。で、調達したカネでドルを買ってそのドルで米国債を買って塩漬けだろ。なんともねぇ。しかし、市場介入といえば、日本は大企業の決算にあわせて毎年2月には円売り介入をやって、円を少しでも安くして、で、企業が為替決済を終わらせたら介入をやめてきたから、今の政府による円安誘導も時期と規模に変化があったゞけで、もしかすると2月の終盤あたりからまた円高基調に戻るかもしんない。昨日もG7とやらで「日本は円安誘導をすんな」と怒られたわけで、そりゃ言われるわな。だが、自民盗政権の支持率のために、毎年やっていた円安介入を派手にやったゞけで、また元に戻るんだったら結局この大騒ぎは何だったの?と後から回顧されるだけかもしんないね。合衆国がドル安誘導をするというのはある意味仕方がない面があって、それはドルが世界的基軸通貨なので、決済にドルを使う国々での生産力が上がれば、その価値に充当するだけのドルを供給する責任に近いものがあるので、ドルについてはどの国もあまり文句が言えない。まぁ合衆国はドル紙幣が主要な輸出産品だというのはよく言われていることでもある。でも円はそうじゃないからね。ドイツが怒るのはこれも無理ない話で、まだユーロは圏内ではともかく、国際決済通貨としては弱く、ローカルなものでしかないから、基本産業力というか市場原理にゆだねなきゃならない側面が大きい。ユーロ諸国内での調整にめちゃくちゃ苦労してるのに、日本がズルをしてちゃまぁいかんだろぐらいの認識でいたほうがよい。まぁ為替差でズルをするのは満州国末期時代に盛大にやってたことなんで、そのころに岸は満州にはおらず日本にいたんだろうけども、その商売の基本である銀流通とアヘン栽培は岸信介らが組み立てたことではあるんで、やはりズルをする血は孫の安倍晋三にも流れていたかぐらいの感慨はある。
 株価の上昇もマスゴミが円安になるからと虚偽の風説を流布しているが、まぁ犯罪行為だわな。上記述べたとおりインフレで貧乏人から企業に移転するカネが多くなるので、全体としての経済規模が変わらなくても企業が貧乏人から吸い上げたカネの分だけ相対的な価値は増える。そうなるとほとんど金利のつかない、というか金利が上昇してもインフレで価値は下がる国債や銀行預金で円を持っているよりは貧乏人が必ず購入する財に関係する企業の株のほうが価値毀損の度合いが少なくて済むというだけのお話。株価の上昇で経済規模が拡大しているように見えてしまうが、実際には経済規模は変わらず、資産の移転が起こっているだけと見たほうが良い。どっちにしても相対的だし、実感として格差の形で現れるのは早くて2〜3ヶ月の月単位。
 まぁ安倍がやってるインフレ誘導策は貧乏人が苦しむだけの悪政ではあるんだが、悪質なのは結果があとから出るってことなんだよな。もちろん財の配分バランスを富裕層側に著しくズらすという意味ではアベノミクスは論外なんだが、ネットでは経済系のサイトでヨイショ記事がよく見受けられるのでなんかうんざりだ。かといって、安倍というか自民盗でなくとも日本経済をどうにか最善手だけを打つようなことができるような政党があったか?と言えば、それは無かったというしかない。最近時事問題についてエントリーを書くことがご無沙汰ではあったのだが、昔よく言ってたように、原因自体は中曽根あたりにある。佐藤栄作田中角栄あたりから借金財政になっていくわけなんだが、プラザ合意での為替の取り扱い、バブルの処理の仕方を大幅に間違ったというしかない。特にバブル、
 http://vipsister23.com/archives/846975.html 魚拓
 はキチガイの沙汰という様相を呈していた。国内で溢れたカネが海外の土地や美術品などを成金のごとく買い漁るという見苦しさを示していた。あの狂乱景気のさなか、地上げなどの暴力団を取り締まることなどもせず、ひたすら贅沢に身を任せていたわけで、あの時のあぶく銭を借金財政の返済に充てゝいればかなりマシな状況になっていたと思われる。
 あのときに賃金の下方硬直性などゝいう馬鹿げた理屈が通用してたわけなんだが、ヘンな話、あの時に際限も無く給料を上げたツケがバブル崩壊後に一気に来たと見るべきだろう。あの時に贅沢を覚えた愚民が祭りが終わったあとも夢から醒めず贅沢な生活を維持するために無理を重ねた結果、経済状況が贅沢な消費を前提とするものに変わってしまった。つまり、生活に必要も無いものを宣伝などを駆使して無理やり国民に消費させるというスタイルが定着したのだ。その消費が止まれば販売店や流通製造下請けなどの関連企業が倒産することになって、雇用も無くなるという社会になったのだ。バブルを境にモノは修理して使うものではなくなってしまい、新しいのを買ったほうが安い、つまり使い捨てにする文化が定着してしまったのだ。我々は生きていくために無駄遣いしなければならないという社会に突入したのだ。おそらくこれは自民盗じゃなくて共産党あたりが政権をとっていたとしても、国民へのバラマキで同じ末路を辿っていた可能性が高い。本当は財が浸透した時点で定常状態を探るべきだったのだ。ヘンな話、過度の成長戦略はヾブルを招来し、その時期が早いか遅いかだけの問題だったと思われる。モノが満ちた時点でというかその直前に生産消費を捨てるわけではないが、超越するステージを考え抜くべきだったのだ。が、高度経済成長期を経験した欲深い政財界がそういうことを思いつく筈もなく、必然性に気づいてもこっそり利権を維持するために格差をつける方向に行っていたと思う。まぁそれの端的な例が今でいうインフレ誘導なわけだが。
 しかし、日本だけで定常状態を探るというわけにもいかない。有り余る財は羨望や略奪の対象であって海外から付け狙われるのが常だ。福祉国家は重税で勝手に滅びるだけで外国に迷惑をかけないだけだからほっとくとして、問題は経済成長をダシに利権を指向する新興国。まぁ国交を断つわけにはいかないんだけど、どの国とも距離を置く必要はあっただろうね。鎖国は現実にも不可能だけどもコメの700%関税はやりすぎではあるものゝ輸出輸入のバランスをとった関税を主とする貿易のほうが、荒稼ぎはできないけども急激な為替変動を伴わないメリットは享受できたと思う。日本でエコノミックアニマルと呼ばれた時代、研究者を奴隷としてこき使って品質や性能を上げて、儲かる限りえげつなく諸外国に販売戦略をとったというのは反省事項に挙げられるだろう。
 さて、あのときこうすればよかったという話をしても仕方がない。少なくとも安倍のというよりバックで安倍を操っているケケ中とかの搾取経済学者の政策が問題なのだが、こういう、ズルであり、格差を拡大させるクズはとっとゝ放逐すべき。円安にしたところで、どうせカネは輸出大企業にしか流れない、つまり貧乏人から大企業への逆方向再分配なんで、こういうのは即刻辞めるべき。まだ日本にカネがあるうちに、鉱物・エネルギー資源、食料を輸入しなくてもよいように国土を改造すべき。それがないと生きていけないという生活必需品は最低でも国内でまかなうことが出来るようにするのが先決。今の経済学って結局のところ奪い合いしか生み出さないんで、そうじゃなくて社会を円滑に回すためのものに変えていくべき。権力の源泉としての貨幣って側面は変えようも無いんだけど、それを本当に露骨に権力として使うってのは厳しく管理すべきなんだよ。結局のところどんな大富豪でも本当に欲しいのがカネ自体じゃないってことはわかっているとは思うんだけどな。要するにカネ自体が核兵器みたいになってるんだよな。言うこときかないとズドーンだぞってなもんで。そりゃ核兵器のように直接人を殺すってもんじゃないけど、頻繁に爆発するし、後遺症は酷いわで、程度の差でしかないような気がするね。


 でもまぁケース1の例年の為替誘導の規模が大きくなったゞけというのじゃないんだったら、アベノミクスを止められず、おそらく参議院選前後あたりから兆候が現れてくる日本の凋落現象を痛感するって可能性が一番高いんだよね。そりゃ彼らの説明どおりインフレが緩やかに起こって賃金が上がってってんだったら少しは評価するけど、結局のところ景気がよくなるのは大企業だけが恩恵を受けるものでしかないだろうし、賃金が上がっても物価高で逆に実質の可処分所得は減り、消費税も増税でってのが目に見えてる。なにより賃金が少々上がっても自民盗は景気はよくなるかも知んないとは言ってるが、庶民の暮らし向きがよくなるとは一言も言ってないことを忘れるべきでない。でもまぁ結局のところ自民盗に投票した連中は自民盗が政権をとれば美味い汁を吸えるって連中が主であろうし、自民盗もインナーサークル以外の国民に恩恵を施すつもりは全くないだろう。産業は空洞化しているし庶民の消費能力にも限りがある。奪える時に奪っておいて抵抗力をなくしておいて後々まで好き勝手できるように政策を組むだけだろう。つくづく空き菅と野田の存在は痛かった。といっても松下政経塾出身者は明確な自民盗の別働隊であって、出身者の野田を民主党員でもない国民が選ぶことなんてゞきなかったわけだが。空き菅も空き菅だわねぇ。消費税増税発言でスグ反省して、消費税増税は議論すらしませんって言えば良かったのに、消費税増税にこだわって、東北大震災のゴタゴタを言い訳に権力の座に居座り続けたもんな。選んでもないクズが手の届かないところで跳梁跋扈しているのに我々に何ができたというのだ?。