シャイニング・ハーツ 〜幸せのパン〜 第11話

 周囲の人間が寄ってたかってリックに戦えと。
 あれほどリックが剣士であることを嫌っていた三人娘まで。なんかそういう雰囲気にのまれてしまったリックをなんと判断したらよいのか。とはいえ、リックが今までいろいろな他者に相談する場面を視聴者に見せていても一つ晴れない疑問があって、それは「実はリックは過去の記憶を取り戻していたんでは?」というもの。彼が彼自身の過去を知っていたとして今までのような対応ってのは実はありうるのであって、そして前にも書いた疑問、三人娘も実は過去を取り戻しているのではないか?ということも考えられる。いや、思い出したのが何時かを問わず、思い出したくないから知らないふりをしているってことも十分ありうる。それが三人娘のパンを焼いて待ってるという台詞なのかなと思ってみたり。そりゃ素直に物語を受け入れたら、誰も記憶を無くしたまゝであるってのが公式見解なんだろうけど。
 いや、今日視聴前に予想してたのが、リックは所詮ヒトの子であって、攻めて来た敵相手に苦戦するのかと思ってた。そして現れるのが妖精兄妹や@釘宮の魔法使いっぽい少女で、「みんなの力」というべきパワーで敵を撃退してメデタシメデタシというオチかと。まぁ苦戦していることには変わりは無いんだが、まさかリックが超人パワーを発揮するとは思わなかった。しかしなんだな、王女の魔法でリックに羽が生えたのは、ルフィーナを通じてそれこそみんなのパワーがリックをして空を飛ばしめたというメタファーなのはわかったんだが、剣を保管するのに、鎖で繋いでいた意味はなんだろ?と思った。あれだけは絶対にとられてはいけない宝物なんで、運び難い重量級の箱に固定するということならわかるんだが、やはり思い浮かぶのは鎖は封印の印ということ。機械人形の起動スイッチも鍵はついていたが宝物箱の中に無造作に置かれていたし、封印をする理由が見当たらないのでなんとも。鎖で縛られている剣はそれこそしがらみに縛られたリック自身を現すものと考えてもよさそうだが、それも今一ピンとこない。
 しかしなんだな、この作品も視聴前はかなり胡散臭い目で見てたんだが、セガ特有の超技術もなんかのメタファーだとわかり、かなり自分の中では好感度が高くなってしまった。今回なんか全編通じて胸が詰まるような感動一歩寸前の状態で視聴してたもんな。まぁそれはそれでもやはりギミックは中二病的だし、説明過多なところはあるけれど、物語の構成要素はしっかり組み合わされていて感心した。
 あ゛〜、そうそう、幸せのパンというからパンが人を幸せにするとかそんなのかと思っていたけど、むしろ幸せの象徴としてパンがある、つまりパンが人を守るんじゃなくて、パンは守られるべき平穏な日常のメタファーなんじゃないかという気がしてきた。