ラストエグザイル-銀翼のファム- 第19話

 確かにジゼルは添え物にしかなってないな。
 うーん、難しい。こゝに至って、ドラマとして面白いか?と言われゝば、そうでもないと言っちゃえるんだけど、かといって自分自身この作品にそれほどヾラマ性を期待しなくなっちゃってるので、そのへんについてはどうでもいゝんだよな。わざわざ言っちゃうと、ヴァサントやアラウダの退場もあんま必要ないっちゅうか、実際彼らの死で場が盛り上がったわけでもないし、演出を見ても盛り上げようとしているわけでもなさそう。サーラがキレイ事をヌかすわりにはヘタれなのはいつものことだし、ファムのミリアへの問いかけも、世界構造を見据えたものではなくあくまで個人的感情に留まっていたのも順当な流れ。むしろ世界の構造を把握したと思われるミリアがその胸中を打ち明けることなく成長していく様の清々しさに気が向いてしまうぐらいだ。
 サーラがエグザイル起動の鍵だというのは彼女が気絶させられて担いで運ばれるあたりから気付いたわけなんだけど、結構オモロイな。結局のところサーラ、アルヴィス、リリアーナ→ミリアと、エグザイルの鍵となっているのは全員特権階級だってのがね。なんのかんの言って世界を動かす力を持っているのは貧乏人ではないってのは一定のリアリティがあって、そこらへん設定の思惑を感じざるをえない。となると、ルスキニアがグランエグザイルとやらを手に入れて無敵となったような描写にしているが、現実世界が米ソの冷戦構造が崩れて、合衆国至上主義になった今でも紛争は絶えてないから、きっと絶大な力を持ってしても戦争はなくならないって結論にするんだろうなと思えちゃうわけなんだが、どうだろう?。予想ついでに言っとけば、「この戦いが終わったら、引退するんだ」という強烈な死亡フラグを立てゝいるサドリ爺ちゃんの行く末だよな。まさか彼が孫と感動の再会を果たして余生を幸せに暮らしたとはならないだろうと思うんだが。
 さて、この作品がパンチの効いたドラマでもなく、かといって理念を示して明るい未来を目指すってのでもどうやらなく、多分世界の問題点を箱庭の中で各キャラクターなどに仮託してるんだろうなと思い至った時点で、あぁ、あんまカタルシスとかそんなの考えてないんだろうなと、エンディングに対する予測が立ってしまう。ファム側に感情移入をあまりさせない話運びになっているし、まぁ何となくスタッフの意図がわかるような気はするんだが、じゃぁこれだけコストをかけてなんのメッセージを伝えたかったんだろ?と思うと、ちょっとフックに欠けるところはあるワナ。恐らく複雑性について視聴者にいろいろ考えてもらいたいってところなんだろうけど、なんか報われること少ないような気はする。