KANの楽曲に「愛は勝つ」ってのがあって、「誰に勝つんだよ?」というツッコミがあったが。
なるほど、そういうツッコミもあったか。でも通常その約束ってのは自分に課したものであってというものなのだが、確かに守られるほうは別に「守ってくれ」と小夜に頼んだわけじゃないしな。となると、ふるきものとの約定ってのは、もしかして小夜の母なり祖先なりが、当時の守られるべき人と交わした「守る」って約束のことなのか?。小夜のその祖先なりが、たぶん守りきれなくって、その恨みを買っているってことなのか?。逆恨みもいゝとこジャンと思ってしまうが、犬の「気付け」というヤレヤレ感の漂った呟きを聞くとなんかあながち間違ってもいないのかなと思えてきた。そうなるとふるきものってのは特権階級のメタファーではなくなってしまうな。
しかし、ふるきものとはいえ、怪物の形を取っているというのは、要するにモンスターペーシャントだのモンスターペアレンツのモンスターと合致しているのかもしれないな。自分自身の欲求に忠実に従って、理不尽な文句を垂れ流すだけで、自分からなんら社会的に価値のある行動を取らない。で、そういう連中がまさに自分の強欲を充足させるために特権階級を支持してしまうという構造。クズがクズであるがゆえにクズを支持し、まともなものは控えめであるがゆえに叩かれるだけ叩かれて勢力を失ってしまう。そして益々世の中は疲弊してしまい、しかもその爛れた社会は特権階級やそれにすがって我欲を満たしてきたような連中が、そうでない連中を壊してしまって社会の再生能力を失わせてしまっているから回復の見込みもなくなってしまう。もちろん特権階級やその取り巻きは奪うことしか出来ないから当然そいつらが社会を構成しなおすことなどできやしない。それに近い状況になっているのが現代日本や欧米などであって、まぁ本当にこの作品がそこまで言っているのかどうかわかんないんだけど、こうやって妄想を膨らませることが出来るぐらいの材料は与えられているんかなと。前回の目のお化けに襲われそうになった少女が、小夜を見て感謝することも無く逃げ去ったとか、今回ののの*1ゝ小夜を非難するような態度とか見てると、案外スタッフの弱者に向けるまなざしってのは深いところまで見通しているんかなと思わざるを得ない。
あと今回気になったのは小夜のペアリングだ。小夜の父がふるきものと対峙する能力を持った母と番になったのは、やはりそれなりの理由があり、小夜と番うであろう男もそれなりの資格を求められると思われる。で、小夜の父を見ていると、たぶん委員長はその任に堪えないんだろうな、多分時真がそうなのか?いや小夜父と面影が似ているようだし…、でもそうなると文人の立場ってどうなんだろ?、根っからの小夜の味方って雰囲気でもないし、いやポジション的にはやはり小夜を支えているようには見えているしで、結構あれこれ予想するのが楽しかったりする。
しかし、アレだな、やはり敵味方だの謎だの構造だのを混ぜ返してきてすんなりみせてくれないところを見ると、ホント先が読めないなぁと。あんまり「どうせこのような展開になるんでしょ」なんてのがあまり無いような気がするしな。