なんか最近のお気に入りだわ〜。

 バカテス2のOP、「君+謎+私でJUMP!!」なんだが、結構聴いてるな。歌っているのがどうもフツーのアイドルっぽいなと思っていたのだが、I'veサウンドというのを目にしてあらためて聴いてみるとなるほどそれっぽい。I'veといえば、KOTOKOだの川田まみだのというイメージしかなかったので、いや、あんまりアニソンの追っかけを熱心にやってるわけでもないので最近の動向についてしらなくても「あ、なんか変わってるな」程度の認識でもいゝんだろうと思ってはいる。
 I'veサウンドといえば、エロギャルゲーの担い手であったせいか、歌詞が電波ソングっぽくなりがちで、そのへん年齢・性別問わない曲にはなかなかなれないんだろうというのがまた惜しいのだが、この曲もゝうちょっと言葉を選んでもらったらよかったのにと惜しいところではある。
 この歌詞のおもしろいところは、どうもサビの部分を中心に組み立てられているらしいってことだ。曲の構成として、A→B→C→C'となっており、C'冒頭がサビになっている。内容的にも変則ではあるが、起承転結の形をとっているらしい。Aの部分は、はっきりいって「意味わかんない」ってとこなんだが、I'veサウンドではよくあることなんで気にしない。Bはどうもホンネをさりげなく語っており、Cでなんか知らんがいきなりこちらに迫ってくる感じであり、そしてサビの部分ではゝぁ、なるほど、コレが言いたかったのかと何気に説得させられるのだ。
 で、全体の意味を掴もうとすると、これがまた一体何が言いたいのか不明だったりする。ようするに恋愛歌であることしかわからないわけだ。自分ぐらいのオッサンだとアニソンだろうがJ-POPだろうがすべて歌謡曲という括りであったころからすると、恋歌ってのは基本歌い手が受け手に贈るラヴ・レターであって、そこには相手が好きである理由をカッコつけて伝えるものであったと思う。で、旋律に乗せて伝えられるワケだからして基本散文ではなく韻文であって、音節の区切りが規則的であるのがフツーだろう。要するに詩、ポエムなのだ。もちろん基本的にこの曲もそれと大きく逸脱する事は無いのだが、逸脱の度合いは結構大きいように思う。
 で、肝心の意味であるが、構造としてフレーズ同士の繋がりがあまり感じられない。もちろん連続性をなくすことによって事態の急変振りを示す効果もあるんだろうが、もしかするとメール文化のあらわれなんだろうかと思い至った。自分はパソコンでしかメールを打たないので、むしろ手紙文化に近い立ち位置で使用しているのだが、携帯端末によるメール交換ってのは基本短文の応酬になっているのだと思われる。1フレーズがメール1通分になっているわけだ。たぶんフレーズ間にはこの歌詞には現れていない相手からの返信が挟まっているハズであり、内容からすると、どうやら相手からじゃなくて自分の送信分もある程度省略されているようである。だから、この曲は実は歌い手(女)と聴き手(男)との間で取り交わされた一連のメール*1のダイジェスト版といえるものなんだろうと思った。そう考えるとこのフレーズの切り貼り感が説明できるような気がする。自分でもなんで全体として意味不明なこの曲の歌詞をあまり違和感もなしに受け入れることができるのか?と不思議に思っていたのだが、上手く構成された総集編を視聴すると、省略されたところも自分で補完したりして感動できたりするので、そういう類の感じなんだろう。
 で、この曲の面白いところは一番・二番の歌詞のリンクがそれなりにあって、特にアニソンによくある「二番以降は付け足し」ってイメージがほとんどないことだ。他の曲だと二番以降は一番の歌詞の言い換えでしかなかったりしてそれなら一番の歌詞だけで充分だというものや、二番で大きな場面転換が行われて全体として調和の取れた構造になっているかもしれないがインパクトが失われていたりするものが多い。が、これは二番になっても一番の雰囲気は失われておらず、かといってちゃんと先に進んでいる感じがする。要するに一番だけでも楽しめるが、二番を含めても無駄に長くなったということを感じさせないのだ。
 しかし、歌詞は覚えにくいわねぇ。やっぱ散文調で一番と二番の対比が取りにくいことや、意味の切り貼り感が著しいので流れで憶えるってことが難しいのだ。脳内で再生する時も旋律だけが思い浮かんで、歌詞は断片的にしか思い出せないのは、それと気づくとなかなかにして苦笑せざるを得ないものがある。もちろん年をとってモノ憶えが悪くなったというのも含めてなんだけど。

*1:具体性には著しく欠けるポエミーな内容だが。