花咲くいろは 第2話

 途中で降車した緒花は、それほど歩かずに戻れたのだろうか。
 うーん、やっぱ話ができすぎてゝ書くことがない…って言ったらアレなんだが、緒花中心に考えると、アイデンティティー獲得に必死な姿ってのがまた涙を誘うねぇ。しかしなんだな、多分わかりやすく作ってあると思うんだけど、おかみが緒花のやる気をどうやら買っているらしいって表現を初めとして、各キャラの意図がよく伝わってくるような感じだ。自分が幼少の頃に見た、こういう成り上がりモノゝドラマなんてのは、もっと好悪がデフォルメされてあって、後から各キャラの意図に気付くって感じになってたと思うんだけど、なにせ判断のつかない年頃だったので、本当にそうだったのか、それとも自分が歳をとってそれぞれの年齢や立場での役回りってのがわかってきて、それでキャラの意図がわかるようになったのか判断がつかないな。
 まぁどちらも鬱屈していて発散系なんだけど、矢印が外向きの緒花と内向きの民子(タミコじゃないのか?。ミンコとよばれているのは愛称なんか本名なのか前回聞き逃している)の対比が主らしい。で、どうしても緒花のような娘が現実にいるとはとても思えないわけなんだけど、でもこれはむしろ現代にいないからこそ体当たりで真正面からぶつかっていく姿を視聴者に見せたかったというスタッフの意図はよくわかる。自分なんかはこうやってはっきりした物言いをドラマでしてくれると、問題点がスグ明らかになって解決までの道のりが短くなるのでわかりやすい。内面化し易いものが表面に出ているので構造がはっきりするんだよな。まぁ問題点をクローズアップして、実は本質は別のところにあるっていうミスリードという手法もあるんだけど、この段階ではそれはないだろう。たゞ、こういうのはオッサンとなった自分、つまりこういう仕立てのドラマに慣れており、ある程度の役回りがわかっている人間にとっては受け入れやすいのだが、今の中高生にはどう受け取られているのかわからないな。単に暑っ苦しく感じてオワリになっているのもいるんじゃないかと、余計なことを心配してしまう。
 ミンコはまぁ物語的にも弄られ役だワナ。@マカヾ、これまたハマリ役なんだわ。聞きようによっては初めっから裏返っているような声質、@伊藤かな恵と共に、体当たり感が出やすい若手で、ヘンに幅の広い声優より違和感が無い。
 しかしなんだね、本当に演技力のある俳優が演じるのと比べると、どうしてもアニメが劣るのはそうなんだけど、脚本を初めとしてこの描写のバランス感覚を見てしまうと、凡百の実写ドラマよりよっぽどこのアニメのほうが瞬間での表現力は勝ってるんだろうなと思わざるを得ない。まぁそれまた背後の監督の力量如何では、そりゃ実写のほうが情報量も多いんだけど、限られた時間に視聴者が受け取る情報なんてある程度限られてくるわけで、何を訴えたくて、何を切り捨てるかってレヴェルでは、もうアニメも充分テキストの視覚化媒体として充分なものになってきているのかな。まだこの作品は人を感動させてやろうって感じの肩に力の入ったものではあるんだけど、それを抜きにしなくとも、いゝ時代に生きているのかなぁと。