GOSICK 第3話

 ヴィクトリカの業ってほどでもなかったかな。
 もっと引っぱるのかなと思っていたんだけど、あっさり幕引き。が、終わってみればちょうどいゝタイミングではある。今話は九城が騒ぐ台詞が少なかったので、落ち着きが増したような気がする。で、お話なんだが、惹きこまれるのはそうなんだが、振り返ってみると実はそうたいしたことでもないんかなという印象。占いと現実が一致することによる納得感はないし、こういう占いが欧米で実施されていてもおかしくないって前提の必要性があまり感じられない。ナイトレイドあたりの胡散臭さは、中国人の風水好きとか大戦時の帝国陸海軍の非合理的精神から「あぁ、アイツならオカルトに嵌るようなバカをやってもおかしくないわな」って思うのはむしろ当然ってのが感じられないんだよね。
 たゞ、もともとがフィクションなんだから、仮定の話の中で、その仮定をどう劇的に演出するか?って観点で見るとよくできているとは思う。現実性とも現代性とも関連が感じられないんで、じゃぁこの世界設定でどれだけ奇を衒うかに走ってもいゝんじゃネェのって感じだ。
 しかしなぁ、ヴィクトリカがなんで真犯人をわざわざ突き出すかねぇってところが良くわかんないな。ジュリィは結局のところ復讐を遂げたかっただけで、想定外のヴィクトリカ達に危害を加えるつもりは毛頭なかったワケだし。要するに占いをしている特権階級やそれに擦り寄る人間が孤児を使い捨てにするのはオッケーで、使い捨てにされた孤児の側が特権階級に反撃するのは許さないという態度なわけだろ。ヴィクトリカ自身が妾腹とはいえ貴族の側だから、貧乏人の坮頭を許せないってのはあるんだろうし、そもそも彼女の推理の動機が暇つぶしなので、別に彼女が正義の味方である必然性は全くない。で、逮捕後の対話として推理内容が開陳されているわけであり、舞台を用意するって意味でも逮捕には必然性がある。が、オリエント急行殺人事件のように、せっかくの名推理を披露しても当事者達の心境を慮って胸のうちに秘めたポワロの気遣いと比較すると、深みを感じる事はないんだよな。ま、贅沢なことを言っているとは思うんだけど。
 ヴィクトリカ悠木碧の演技だが、一瞬「紅」の紫と同じ発声のところがあって懐かしかった。老成した幼女って役柄がそうさせるんだろうなと。