というわけで、イカ娘の原作をちょっと読んでみた。

 ピンポンダッシュの巻が原作でどうなっているのか気になって、ちょっと目を通してみた。そもそもアニメの1パートは、原作数話が繋ぎ合わさったものになっていて、そっくりそのまゝ映像化したものでもない。清美も部活設定が原作ではソフトボール部ではなくバドミントン部になっており、アニメにあった試合の回はオリジナル展開になる。
 該当のピンポンダッシュの回は、前半部のピンポンダッシュのところと後半の清美を家に呼ぶところが原作では別になっていた。ピンポンダッシュでは、最初イカ娘が焚き付けられる部分が、アニメでは身内だったが、原作では他人である。また家に呼ぶところは、清美がイカ娘に話をあわせるという最後の部分が変更されていた。
 うーん、なんと言いますか、原作既読者がアニメ放映前に原作はつまらないと言っていたわけがなんかわかったような気はしたよ。原作のほうはイベントを淡々とこなすって感じで、読者の感情を揺さぶってお涙頂戴にするという部分がほとんど無い。もちろん、イカ娘が相沢家の擬似家族であるということや、イカ娘が一人で人間社会にやってきた孤独な人間?であるという描写はなされていて、原作者になんらかの叙情性の意図は感じられる。が、アニメのほうがはるかに意識してウェットな作りになっている。あ〜、あと、イカ娘の等身が原作では大きくて、体つきはより中学生っぽくなってはいた。
 ピンポンダッシュの回についていえば、イカ娘が清美に「友達のフリじゃないならいゝよ」という許しを得たあとに、日が暮れるまで話し込む描写がアニメではあった。が、あれは原作にはなかった。あの描写を付け加えたということは、やはり清美とイカ娘が友好を深めたというのを強調したかったわけであり、あのおかげで「家に呼んでまでさらに共有する時間を増やしたかった」という流れにしたかったんだろう。
 難しいところなんだが、自分的にはアニメのほうがより感情移入しやすいとは思った。かといって原作が劣っていると言いたいわけでもない。但し、確かに原作を読んでいやにあっさりしてるなと感じたのは事実だ。DVDの売り上げが割と健闘した部類らしいのだが、それには納得だ。自分はアニメは原作を超えたとまでは思わないんだけど、アニメのほうが親しみやすいと考える人がいても不思議はないなぁ。上手くいったんじゃないかとは思います。