そらのおとしもの 第1話

 会ったこともない少女と、どうして相思相愛なのか?。
 というわけで、好悪、両方の評判の高いそらおと視聴を試みてみる。いや、結論として第1話はトばしているが、かなり面白かった。公式サイトではモロ中二病がテーマだと謳っているので、お子ちゃまのドリーム全開なのは承知の上で視聴しないと、的外れになるだろう。
 本筋について言及すると、主人公の智樹は平和を愛するといっても、いざイカロスの力で命令を下せるとならば、いとも簡単に自己の欲望に忠実になれるわけだ。富・色欲・時間・土地・食欲と順に来て、さてイカロスに脱げというのだ。そして次は世界征服。面白いのはこの世界征服って方法が、智樹を王と認めなければ消えてしまうというもの。イカロスは何でも命令はかなえると言ったが、それはあくまで物質的なものだけであって、どうやら人の心までは動かせないらしい。イカロスが脱いだので、人を思い通りに動かせるのか?と予想していただけに、これは衝撃的だった。だって中二病なら、智樹を称える世界中の人を描写しちゃってもいいわけジャン?。で、それはしない。
 で、絶望に苛まれた彼が、イカロスが自分を廃棄処分にしてもよいとの提案に安易に同意し、そこでようやく自分が何をしてしまったか、またその原因が何かに気がつくワケだ。すべて夢ならよいのにという願いをかなえるという解決法は確かに安直だとは思うが、自分はむしろあの状況を解決する冴えた方法だと感心した。原作だか脚本だかわからないが、ご都合主義を上手く利用したなと。
 そして、イカロスがそばにいてくれという願いを保留していたこと、そして智樹が自分の命令ではなく、イカロスに選択させたということから、彼が何を学習したのかがわかり、短いシーンでよく処理したなぁと感心した次第だ。
 そもそも空から降ってきた女の子がべた惚れとかありえないことではあるんだが、智樹が命を顧みず救おうとした勇気の持ち主であること、自分の行いを反省することができる人間であること、そして多分この経験を元に自制心をもったであろうことなど、視聴者がすぐ納得するとは限らないが、イカロスとのペア組がいちおう理屈立っていた。視聴者に媚びる題材でありながら、それを逆手にとって投げ返しているんじゃないかという気がしたが、どうだろう?。