シャングリ・ラ 第24話

 自民党がなくても、人は生きていける。
 当初はこうなるとは全然思っていなかったんだけど、ミーコが美味しいところをさらっていってるよな。やっぱり湿っぽい部分での出来がいい。苦しい状況でも人は助け合って生きていけるってメッセージはさすがにあからさまだが、順当と言えば順当だろう。
 さて、そうはいってもやはり主題は現代日本の活写だろう。アトラスはこぎれいで人工的な特権階級の生息地域。自民党にいわせれば年収1000万以上の高額所得者の制限区域だ。反面地上の生活は、いみじくも「格差が拡大したといっても餓死したりしていない」と経団連のだれかがのたまったように、生きていけるが喰うためにカツカツの生活を強いられている人々がいっぱい。近未来といっても現在の状態に酷似している。アトラスという特権階級の生息区域が人々を犠牲に成り立っているものってのがすべてを言い表わしているとおもう。(あと余計な付け足しだが、最後らへんの台詞からすると凪子らは団塊のメタファーだろう。)
 それがまた先の大戦の様子とも重なる。最後オカルトに走ったのも当時の状況と良く似ている。日本は神国なり、神のいう事は全部きけ、で、天皇は現人神なりといって、軍部などの特権階級が当時の国民から何から何までせしめたってのとどうにも繋がるような気がする。アトラスの固有振動を止めるために、科学的根拠や対策によるものでなく、人柱ってのがどうもな。卑弥呼の亡霊が人々を見下しており、またアトラスが人々を見下すように屹立しているのもなんとも。卑弥呼を持ち出したのを批判してはいけない。自民党だって神道政治議員連盟って冗談じゃなく神というか宗教というか愛国心とやらで人を騙そうとしていたではないか。神道をそのまゝもちだしちゃぁあからさまだから卑弥呼でとどめたと見るべきかと。
 炭素経済も、よく判断がつかないといえばつかないのだが、むしろ現在の環境問題(これすら胡散臭いのだが)というよりはユダ金システムなんじゃないかという気がする。実際に二酸化炭素を放出してそれが環境悪化に繋がったという描写が一つもなされなかった。経済が崩壊したといっても、景気が悪化した描写もなかったし。最後メデューサが騙されたった結論もヴァーチャル経済って証拠だし、それは実体経済を無視して乱高下する相場や株式のようなヴァーチャル経済となんら変わりない。だから、騙されたような気がするのだが、炭素経済ってのは環境問題ってよりは現在のヴァーチャル経済そのものと見なしたほうが近いと思う。で、肝心なのはそういう経済じゃなくって人と人との繋がりだろってのが表と繋がっているメッセージだろう。
 というわけで、終わってみれば現代社会批判というか政権批判モノでしたってとこかな。まわりくどい割にはあんまいってる事は難しくないというか、むしろ単純。深いものが隠されているってよりは、現代情勢を各要素皮を変えて演出しているからよろしくってなもんだろう。でもまぁ何が潜んでいるか探りながら視聴してはいましたけどね。面白くないわけではないけど、かといって噛めば噛むほど味わい深いってほどのものでもないかも。最後らへんの國子の作画は好きでしたよ。おもろ+。