クイーンズブレイド 流浪の戦士 最終話 開門〜女王への道

 記号・メタファーのオン・パレード。
 GyaOのレビューでは、やれ続編があるだの、話はクソだの書き散らされているが、綺麗に終わったよね。自分も初めは冷やかしのつもりで見始めたんだけど、話が進むにつれ結構のめりこんでいきましたよ。で、いつメインキャラ同士のバトルが始まるのか、そしてそれによって並列して売り出されているキャラに優劣をつけていくのか?と半ば訝しがりながら待っていたんだけど、こういう結末にするとは。まぁクイーンズブレイドがナナエルによって宣言されながらも、すべて無効試合になってきたことから、ある程度予測はつくようにはなっていたわな。自分の場合はこの最終話の冒頭あたりで気が付いた。まぁこういう結末にしたんだから、続編はありえない。というか、バトルロワイヤルをやっちゃったら、今回のシリーズの意味が全く無くなるだろ。
 で、確かにレイナの成長モノにもなっていたけど、面白いと感じたのは「組織のリーダーが具体的な目標を持っていない、むしろ持たないほうが結合の象徴として望ましい」という構造がドルアーガの塔のジルと同じこと。まぁなるほどコレが現代的といえばそうなのかもしれない。昔だったらリーダーが明確な目標を打ち立てて、メムバーをその特性に応じて適正な役を割り振って、実現に向かって邁進するってストーリーが多かったと思う。が、今や先進国では喰うに困らないほどモノが溢れ、それでも人間の欲には際限が無く、特権階級が世の富を独占したあとの残り滓を大多数の民衆が奪い合うって時代になってきている。確かに食べるには困らないけど、なんか生活が苦しい。で、それは民衆が築き上げてきた生産物を、働かない特権階級が横取りしているからなんだけど、特権階級に都合の悪い情報は隠匿され、民衆に対しては適度なガス抜きがなされて何とか世の中がまわっているって状態になっている。で、苦しめられている民衆を明確に救うという立場にはなっていない*1が、少なくとも理不尽な社会の構造を立て直す、もしくは壊すリーダーとしてレイナが主役になっているわけだ。
 そんなこんなで、少しはエロ要素目当ての下心もあったわけなんだが、見終わってみると別に剥いてしまわなくたって十分というか、むしろ気が散るのでぼかしで隠してくれていたのでありがたかった。ちょっとしたエロコスで十分ジャンかと。サブヒロインのトモエがちょっとぱっとしなかったが、そこはレイナ姉妹のメインラインを引き立てるためにも必要なことではある。これまた終わって振り返ってみるとバランスの良さに気が付くのだが、ゲストヒロイン達も決して単なる引き立て役だけにはなっていなかったような感じはする。見掛けに反してかなりストーリーは練りこまれているように感じた。 
 というわけで、自分的には評価の高い一品でした。絵も綺麗だし、なんでこんなに気合を入れているの?と思うぐらい真剣なBGMなど、思えば過剰なエロが惜しまれるぐらい。おもろ+ですわな。

*1:もちろん、明確な敵も描写されない。女王アルドラは悪役ではないし、魔物であるメローナ・メナス・アイリも収奪する本人ではなく、あくまで人に使われているという立場。ドルアーガの塔でも、結局ギルだって被害者だったという結論になっているし、そこらへん明確な政権批判にならないよう留意しているようにも思える。