黒塚 第12話「黒乃塚」

 胡蝶の夢で終わりにしますか。
 うーん、やっぱよくわかんなかったな。人々が使い捨てられるところとか、最後背景が血で染められていくところなど、現代日本の問題点に切れ込む要素は確かにあるんだけど、そうはっきりと言っているってわけでもなくって、なんとももどかしい。そもそも日本人は判官贔屓ともいわれていて、九郎は善良な日本人のメタファーでという要素もあるんだけど、そこまで言うのも無粋かね。全体を貫く小道具大道具も日本を意識しており、そこらへんいろいろあるんだとは思う。多分最后の弁慶の恋が何だのいってたのはめくらましだろう。
 そもそも夢枕獏の原作をどの程度改変しているのか良くわかんなくって、というか夢枕作品を読んでないので推測のしようもない。かなり改変して全話タイトルを決めていたってところから、スタッフのはっきりした解釈が得られるのかと思ったんだけど、そうでもなかった。もしはっきりしたものがあるんだったら知りたい気もするな。
 さて、たしかにアクションはキビキビして迫力があったんだけど、そもそもの意図が不明でそれが頭を離れなかったので、果たしてその切れがメッセージに説得性を持つものかどうかって判断が出来なかった。世界観も自分にとっては魅力があるとかそれもアリかもしんないといったものでもなく、いやスタッフもそういうモノにしようとしていたわけでもなかったのだろうけど、どうにも場違いな印象を受けた。
 というわけで、視聴対象にした動機がそもそも弱かったし、期待度を考えればこんなものかといったところ。美術面だとかのクォリティは高いけど、ちょっと他人に魅力を紹介できるほどこの作品を咀嚼できなかった。評価をつけるのは難しいが、自分の読解力のなさも考えて無理やりするとすればおもろかな。