マクロスFRONTIER 第25話「アナタノオト」

 ユダシステム…。
 なんか合っていようが間違っていようが、力づくで畳み掛けてきましたねという印象。一番気になっていた、バジュラとの共生は、なんかポカーンな感じでしたよ。えーっと、ランカを通じて人類の習性がわかったから、特に争う必要もないって認識されたってこと?。バジュラ本星に無事殖民していたという描写のように思えたが、結局宇宙空間でも平気の平左のバジュラは、お互いが常にリンクしているし、生存圏が必要ないということなのかな?。「侵略してきたのは人間のほう」と前回ブレラが叫んでいたことも、グレイスがそのようにバジュラを扇動していたってことなのかな?。ビルラーが会いたかった人はリン・ミンメイらしいが、もう既に死んでしまっていて会う会わないの問題ではないような気がするのだが。それともバジュラの全宇宙リンクシステムは過去の記憶を再現できるとか?。
 なんかいろいろツッコんでおきたいことは山ほどあるんだけど、どうもまとめると見せかけて卓袱台返しをしたように見えてしまう。本質を明らかにして、ある程度仄めかして合意を得た後には、わざと結論を明らかにしないで置いたのだろう。ここで特権階級批判や社会批判や改善指南で話を〆てしまったら、なにより野暮だし、お上に目をつけられないようその部分の店仕舞いは早めに行ったのだろう。シェークスピアやその時代の大衆演劇のように、大筋は何の変哲もない人間ドラマなんだけど、芝居の中には盛大に政権批判を紛れ込ませて大衆の鬱憤を晴らすって構図だろう。とはいえ、その何百年も前の形式を踏襲しているわけでなく、大変わかりにくい構成になっているし、なにより物語中に紛れ込ませた批判要素を大衆が読み取れないほどバカになってしまっているということもあるだろう。なんだかなぁ〜。
 とりあえずマクロスギャラクシーは、バジュラの恋歌を歌って呼び寄せたランカの失態で滅亡ってことは間違いないらしい。シェリルの病気もウィルスを腹に移動させて快癒。グレイスはどっちかというと宇宙の支配者になりたいという欲望もあったらしい。で、死人は結局メインで二人ですかね?。
 若者の成長部分については、やはりあまりなかったということで。ランカの宣戦布告でこれまたダラ〜とした感じ。アルトとシェリルはもう寝ちゃっているだろ?。これで文字通り体を張った女の争奪戦が始まるのかと思うとやるせない。そういや視聴し終わったら、魅力のあるキャラクターっていなくなってしまっているわな。が、これはスタッフの意図通りだろう。ネットでももうシェリル・ランカを巡って俺の嫁争いはやめたほうがいいのでは?。
 で、評価としてはおもろ+をつけたい。終わってみたらメロドラマ仕立てのミュージカルでしたという結論で、途中作画は苦しい場面が続いたが、それにしたって絵も音も全般的に美麗であった。で、その行間部分を除いた、メインのラブストーリー部門とシリアス部門の脚本が秀逸か?と言われれば、こういったハリウッド風味は自分には好みではなかったということでまとめたい。あくまで背後の構図は良く組み立てられていたかな?という程度。とにかく全般的にどこか引っかかるように作ってあって、それは背後にある何かを気付かせるためだということはわかった。ストレスというほどではないが、毎回悶々として視聴していたように思う。それが最終まで後5〜6話というところまで来て、構造が見えてスッキリしたのは個人的にポイントが高かった。それでも最後までどこか鬱屈した話運びで、最後の最後も、とにかく理屈抜きで鬱憤を感情の迸りで解消してくださいというハリウッド展開なのにも、ちょっとニヤリとさせられたが、どっかひねくれているよな。まぁ脚本を叩くのは簡単だが、視聴者の欲望を充足して人気を得るんだったら、スタッフにとっては簡単なことだと思うので、これは初めっから狙ってやっていたと見るべきだろう。むしろ部分を叩けば叩くほど、もしくは部分を褒めれば褒めるほど、スタッフの術中に嵌っていると思う。