マクロスFRONTIER 第23話「トゥルー・ビギン」

 次回は第一次中東戦争になるんですか?。
 うーん、ここまでユダヤに合致させなくとも。三島がその代表格ってのはわかるんだけど、ビルラーもモロそうだった*1とは。まぁアルトを招いて聞かせたことは、ワザとミスリードしていることもあったし、本当はわかっていないこともあるんだろうなと思わされた。
 フロンティアスピリットというのは合衆国の国是であり、やっぱり合衆国を意識しているわなと。別にバジュラ本星をカナンと見なくても、西部開拓時に奪い取ったネイティブアメリカンの地と読み替えてもいいだろう。バジュラがなんでマクロスフロンティアを攻撃するのかもわかったような気がする。要するにマクロスFが奪いに来たというのが彼らにわかっているために、当然本拠地を秘匿もするし、攻撃もするわな。マクロスFは紛れもない侵略者なわけだからして。むしろバジュラにこそ正当な反撃理由があるという。
 今回はあんまり出番のなかったオズマ達だが、前回なんで海賊という宣言をしたのか、これもわかったような気がする。要するに距離をおいたわけだよな。三島達の真の意図も、バジュラを含む世界もわかっていないからして、糾弾しようにも判断材料が少なすぎる。しかし、三島のクーデターあたりはオズマやキャサリンあたりの調査で間違いない事はわかっていて、このまゝ三島達の手先のまゝでいて、もしかして犯罪かもしれない行為に手を染めるわけにもいかないし、かといってあからさまに敵対しては潰されるだけだし、多数に説得するための証拠も手段も持ち合わせてはいないので、現時点で大義の持ちようがない。脱出の際に、補給とかどうするんだろう?とか心配になったのだが、まぁそこはアレだけの技術があるわけで、長期間の作戦行動に耐えうるものはあるという設定なんだろう。まぁ協力もしないが敵対もしないという大人の判断。追っ手を撃退したが、それは後で、三島達の犯罪行為が明らかになった段階で、糾弾する要素として取っておけばいいだけの話だろう。敵対したわけでもないのに先に手を出したのは三島達のほうってね。
 バジュラのネットワークは、それこそ今流行りの統一体ですか…。なんか多いねぇ。コードギアスも結局はこれに似た感じの世界をシャルルは作ろうとしたわけだろ?。人間の脳がニューロンをノードとするネットワークだとすると、バジュラは彼ら一体一体がネットワークを構成するノードなんだろう。で、ニューロンは物理的な接続がなされているのに対して、バジュラ同士を繋げているのはフォールド通信であるらしい。まぁ空間も時間も飛び越えるという設定なんだから都合がいいわな。
 で、ランカだが、バジュラクィーンとグレイスが言っていたが、語義通りランカがバジュラ達を束ねる存在なのか、それとも単にバジュラネットワークを構成する1ノードに過ぎないのかは今回の描写ではわかんなかった。まぁサブタイ通り、真実はまだ始まったばっかりということだろうから、急いで結論を出すこともないだろう。バジュラ達に拉致されたように見えるが、バジュラの居住地を奪いに来たグレイス達の悪意を感じて、自分たちに好意的なランカを保護したと見るのが自然のような気が。
 シェリルの感染症も本当に死に至るものなのかね?。なんかシェリル自身もブレラも死亡フラグをおったてているように見えるが、まぁミシェルが唐突だったからね。ここまでほとんどの視聴者に意図を読ませなかった脚本なんだから、フラグ立てを無視して話を進めるのはアリだろう。っつーか、わざわざわかりやすくフラグを立てて物語の意図を読ませやすくする必要があるかね?。そんな話立てこそ視聴者をバカにしていると思うが。
 ミシェルついでに、やはり、この作品が若者はバカであるという描写から、いわゆる新人たちの中では一番賢そうな彼を早めに退場させたかったに違いないと思っている。三島達の意図に一番早く気付きそうだしな。でもまぁ真実を明かされてビックリというシーンを挿入するためには、先読み行動しそうなミシェルは邪魔だろう。
 シェリルの感染症は、やはりアルトへの血液感染を防ぐ描写はあったわな。なんつーか、ヤることヤったら、体液交換による感染はしそうだが。まぁランカも含めて感染症についての結論もお楽しみってことで。
 グレイスだが、ユダヤユダヤでも利権追求型ではないっぽい。学問というか真理追究が目的っぽい。先ほどイスラエル建国についてググってみたら、アインシュタインイスラエル建国に積極的に関わっていたというのを見つけた。だからグレイスはアインシュタインのメタファーだというつもりもないが、立ち位置は似たようなもんだろう。
 さて、主人公のアルトくんだが、どうにもな。まぁ若者全般バカという描写なんだが、かといって、見苦しいというわけではなく、若さゆえの無知にも関わらず自分の人生を精一杯生きたいという熱情はちゃんと描かれていると思う。まぁやはり大人の用心深さが全く無いから、悪意を持った人間にいともたやすく操られちゃってはいますが。シェリルはアルトの好意が同情と見抜いてはいるけど、かといってやはり自分の実存をなにより最優先しちゃっているしね。ルカも、情報から遮断されているというハンデはあるにせよ、かといって自分たちを取り巻く環境の把握をしている様子は無く、目の前に現れた危機をどうやってうまく処理するかという対処療法に精一杯。たぶん彼は自分が間違いなくいいことをしていると思っており、ひとまず成果が得られたら人の助けになったということに自己満足していることだろう。バジュラの妖精に気付くという注意力はあるものの、自分が利用されているだけということには思いが至らない。
 で、我らがアルトくんなんだが、これまた煮え切らない。結局今の今まで、女形を象徴するあの長髪とさっぱりお別れすることなく、やはり未練がありありと残っている様子。で、他の選択肢があってもいいのに、パイロットとの二元論。っつーか、矢三郎の「敵がいてもいなくてもパイロットになっていたのか?」ということについては、バジュラが殖民船団に侵入する前から学園でパイロットをアルトは目指していたじゃんと反論しておこう。でもアルトがS.M.S.に入って戦うことについてはどう考えても成り行きだわな。しかし、アルトが演劇に戻る目ってあるの?。シェリルやランカ*2がスターダムに昇って支持され、喝采を浴びることで舞台に惹きつけられるってのは描写されているから、アルトも敷衍してそうだと考えてくれっていうのは可能ではあるが。家業を継ぐって事に関しては、逃げるという選択肢そのものが頭に無かったというクランが対照としてあったが、アルトにとってどうだったのかについては、やはり言及はないわけだろ?。自分の目には、アルトはオヤジの健康は心配でも、あんまり家業について執着があるようには見えないがな〜。まえからずっと決断から逃げているという描写にはなっているとは思うんだがね。なんつーか、余計なお世話というか。
 いや、うだうだ書き連ねてもキリがないのだが、アルトは確かに流されてはいても、やはりれっきとした思い悩む若者であり、特に非難されるべきとも思われない。中高生…というか特に高校生と見ると、等身大の若者といった描かれ方のように思う。キれることはあっても、取り返しのつかない間違いというほどの悪さはしない、友達を悪ふざけをしたりして人付き合いが悪いわけでもない、自分にその能力があるんだったら、むしろそれを人のために役立てたいという気の良い若者。失うことがあまり怖そうでないってのも若者特有だよな。まぁ大局を左右するのはランカではあってもアルトではないわけで、そこらへん十分に思い悩んでくれ、若者よ…といった感じか。
 ここに来て見通しが良くなったせいか、結構視聴意欲にエンジンがかゝった。もっと早い段階から謎を明かされると、まさに今回ぐらいで視聴意欲が息切れするだろうから、ギリギリまで粘ったのだろう。シリーズ構成としては妥当な判断だと思う。でもまぁ、最後まで視聴して、それから視聴後感がどうなるかはまた別の話。勢いで気がついたことを書き散らしたが、いつも通り視聴直後のメモ書きということで。

*1:むしろ彼のほうが世界っつーか宇宙統一帝国の樹立をたくらむ張本人

*2:追記:ランカは不特定多数の喝采を浴びるための舞台立ちという段階から脱皮はしているわな。ある意味彼女自身が何のために歌うか?ということに一定の区切りをつけたという描写。それが正しいかどうかは、まだまだランカは成長途中で、実は彼女自身にもわかっていないっぽいが。