官僚たたきも激しくなっているが。

 守屋前事務次官もだいぶやりあげられているっぽいな。いろいろ接待を受けているとか、たしかに許せないものもあるのだが、証人喚問の時の正直さを考えると、本当にこの人は悪人と糾弾される人なんだろうか?という考えが頭をもたげてくる。娘も不正な利益供与を受けており、家族ぐるみでなんと不謹慎なとも思うのだが、よくよく考えてみれば、世襲二世や三世議員はもっと酷いわけだ。前首相にいたっては、自分に何の実力も経験も無いのに短期に総理大臣にまで登りつめ、相続税の脱税やらほにゃらら団との関連、そしてなにより宗教カルトとの深いつながりなど、死刑にしなくとも犯した罪に相当する刑を計算すると、たぶん3桁では足りないんではなかろうかという重さを考えると微々たるものかもしれない。むしろ政治家などの権力者は犯罪動機が決して一人にとどまらないわけで、今まで親の罪を子供が被ることはないと見なされてきた旧弊を改めなければならないのではないか?との視点を与えてくれた事はむしろ功にあたるのではないかとも思うのである。
 で、私も政治家と結託して私腹を肥やす高級官僚は断罪されるべきと常々思ってはいるのだが、官僚全体を一くくりにして悪者扱いをするのは無謀だと思っている。そもそも日本は官僚国家で、官僚が自分の思い通りに政治すら動かしているという論が巷に溢れているのだが、果たしてそうだろうか?。そもそも各官庁のトップは政治家であり、官僚はその指示の元に動かなくてはならず、官僚の失策というのは原理的にありえない。官僚はあくまで政治家の思惑に従って動いているわけで、たとえば、社保庁の不手際だって、そもそも政治家がきちんと指示をしていれば済む話なのだ。
 かなり言われているにも関わらず、あまりクローズアップされないのだが、社保庁の資料廃棄の件も、あれは政治家が捨てろといったから、その指示に従って捨てたに過ぎない。普通に考えると、末端の職員は紙媒体の資料はいくらめんどくても原本は残すと考える。設備が整っている限り、というか社保庁なんて仕事を突き詰めて考えると、国民の名簿の管理と払い込み払い出し処理だけなんだから、いつでも一次資料にあたれるようにするのはあたりまえである。噂になっている通り、保険料も払っていないのに、政治家の口利きで不正給付をうけている、その政治家の支持者なんてごまんといるわけで、その政治家が自分の不正への追求を避けるために資料の破棄をたびたび命じているということもよく聞く。
 そして、特に省庁なんて政治家の利権の具現化の総本山なので、特にそのトップは与党の意を組む人間が登りつめることが出来るようなシステムになっている。ヘンに正義感を発揮して、政治家の不正に手を貸さないと反抗でもしてしまったら、そいつは退職させられるってだけのことだ。そして与党のイエスマンのうち、トップは事務次官になるにせよ、トップになれないが、与党の意を汲んだ仕事に貢献した官僚からオイシイ特殊法人などに天下りさせてもらえるという仕組みだ。そりゃ本当に国のための仕事をしようと思っている人ほど幻滅するわな。激務に耐え、心では馬鹿にしつつも、政治家の利便を図るだけの仕事に専念せねば出世出来ない構造。そして近年の官僚バッシング。本人としてみれば、小さい頃から受験地獄をくぐりぬけ、せっかくつけた知識も国民を救うのではなく痛めつけて特権階級に尽くすことに使われてしまうわけで、何のために好きなことも我慢して人生をつまらんことに賭けたんだと後悔しているに違いない。もちろんやっている事は特権階級の便宜を図っていることなんてわかりすぎるほどわかっているはずなんで、今更国民に感謝されるとも思ってもいないだろうが、決してそういう仕事を本心からしているわけでもないだろう。かといって結果的に国民をいじめていることには変わりはないんだけどな。
 国家を動かす装置のすぐそばにいて、どのように国内が動いていくのか良くわかっているのが官僚で、そして、人の欲望に近いところに居て、実際に国がどのように動いていくのか仕組みを全く分かっていないのが政治家で、まぁそういう馬鹿がトップに立っているというのが残念なことに日本の現状だったりする。その政治家が欲に任せて上から命令するだけなのだ。素人集団が気分で国家のトップに立っているという不幸。そして運営が失敗しても政治家はトップとしての責任を取ることがほとんどない。まぁ日本がダメになるのもあたりまえだわな。そしてその責任を官僚により負わせるのは、そりゃ酷なもんだと思う。
 特権階級の私腹を肥やすのに貢献出来ない官僚ほど遠ざけられるという構造をまず理解した上で、マスコミなどは官僚批判をしているのだろうか?。頭がダメなのに、正確に動作する手足を批判したってダメだろうと思うのだ。戦前の内務官僚は、それはそれは酷かったそうだが、現在の官僚は、自民党と癒着している官僚を除いて、むしろ待遇を良くしないとダメなんじゃないかと思う。前にも言ったとは思うが、官僚が天下りなどしなくても、それまでの経験を定年まで生かすことの出来るシステム作りとしての公務員改革をするべきだと思う。単純な天下り批判は本質を見失うと思う。行政も真に立法から独立しないとダメだし、与党にばかり都合のいい判決を下す司法だって、もっと立法とは距離をおくべきだと思う。立法府である国会が自民党の暴走で機能不全を起こしている現在、三権分立自体を考え直していかなくてはならないのかも。
 少なくとも守屋前事務次官は、今までの官僚よりは正直に国民の疑問に答えてくれたのでは?と思っている。森・小泉・安倍・福田の誰一人として明らかに犯しているはずの犯罪を全く認めてないぜ!。