かといって、民主党もなんだかなぁで。

 とはいえ、今日本国民の投票先の選択として自民党だけはありえないだけに、難しいところである。何より野党だって自民党に虐げられていて、とにかく自民党に対する怒りだけは小鼠改革で痛みだけを押し付けられた国民とは大いに共有できるわけで、我を忘れて怒りを表出するのはわからなくもない。選挙後に与党になった暁には悪いところは修正でもしてもらって、紆余曲折しながらでも改善の方向に向かうのなら良しとせねばなるまい。与党になれればのはなしではあるが。
 対談 「新しい日本を創ろう!その3」 2009年2月2日 参議院議員 蓮舫先生 vs NPO法人日本再生プログラム推進フォーラム理事 経済アナリスト 藤原直哉

57:25あたりから

藤原:役人の中にも少しは物のわかった人はいないんですか。これではいかんと思っている人たちは。


蓮舫:思ってますけども、役人が動くのは…その、法律によってですから。


藤原:そうですね。個人の思いじゃ動けない。


蓮舫:その法律をかいているのは役人ですから。その法律に予算が伴う場合には、その法律をよしとするのは財務省ですから。


藤原:あー、そうか。その財務省はどうなんですか?。


蓮舫:その財務省が動かしているのは誰かといったら、本来は政治なんですが、残念ながら政治は動かしてません。なぜならば、この国の80兆の一般会計、200兆にわたる特別会計、まぁあのー重なっている分もあるから212兆なんですけども、その予算をどう使うかってのは、今の予算のつくられかたってのは、毎年夏に各省庁がシーリングという、こういう風に予算を作りたいなっていう予算要求を財務省に出す、で財務省がそれをもう一回見て、おまえこの部分はお金使いすぎだろ、とまた返す。で、各省庁は復活折衝といって、もう一回この政策だけは認めてくれ、医療にこれだけつかいたいだよとか、教育にこれだけはつかいたいんだよと、いや科学技術にこれだけつかいたいんだよと、また財務省に出すんです。で、財務省がそれをもう一回見直して、ここは取り入れてある、ここはじゃぁダメだから削るといって作られたのが、財務省原案という12月に政府に出される予算案なんです。で、政府はそれを閣議決定して政府案にするんです。


藤原:なるほど


蓮舫:誰が作っているんですか。


藤原:まぁそうですね。


蓮舫:私たちは、次の選挙のマニュフェストにするときは、あの〜、内閣が作ります。


藤原:そうですよね〜。


蓮舫:私たち議員が作ります。で、この議員が作った予算案を官僚に見せて、出来ないって言った人は、任命をしません。局長に指名しません。事務次官にも指名しません。秘書官にもしません。で、やるって言った人だけを登用します。任用します。


藤原:そうですね〜。


蓮舫:それを私たちの予算として、政治が法律を作って、動かしていきます。あたりまえの姿だと思うんですが。

 手足を食い尽くしたタコ、今度は脳ミソまで食べ始めた。 - カタログ落ち

自分のことを考えんで、日本全体のことをかんがえてるやつなんて、本省の課長までさ。部長から局長、次官になるにつれて、大臣からなにかいわれてそれに反対するのは出てこれないね。

 うーん、どこが自民党と違うんですか?。自民党より高圧的なだけじゃないですかと。蓮舫のこの発言の部分を見ると、なんというか、あぁ40年ぐらい前にも見たような風景だよな…と思った。そのときの与党って自民党じゃなかったっけ?。まさに談合政治まっさかりの頃の。
 蓮舫ももう、口が止まらないって感じで、対する藤原直哉も賛同するだけって感じなんだけど、どう思って話を聞いていたのかちょっと知りたいわな。藤原直哉は大連立が取りざたされていた頃、ちょっとおかしくなっていたこともあるんだけど、今では割と間違いをしないように注意しているみたいで、毒にも薬にもならない話が多いんだけども、結構楽しく聞かせてもらっている。で、彼が良く使う言葉に現場の力ってのがあるんだけど、蓮舫はそれを全く無視する形の発言をしているわな。官僚が現場を熟知しているわけでもないんだろうけど、政治家というのはそうでない人もいるにせよ、代議士という、「選挙区民を代表して議論する」役なわけで、国民の意見の代弁者なわけだよ。多くの人間がいたら、その意見を調整してまとめるのが仕事なわけであって、一部の階級と結託して、国民の目を盗んで特定の層に利益誘導したり、国民の意見を代弁すると口ではいいながら、その実自分の利益になる法律ばっかりつくるのが仕事なのではない。陳情なり、陳情はしないけども声無き声に耳を傾けるなりして国民のすべてに利益が行き渡るよう調整をするのが仕事である。言ってしまえば、現場を知らなくても、調整のエキスパートであればそれで事足りるものではあるのだ。で、現場を知っているのは誰か?といえば、異論はあろうが、今のところ役人がそうであろうと思うのだ。で、蓮舫の発言を聞いても、現場を良く知っている役人がある程度の上乗せをするにせよ、現場に必要な分を予算要求として出す、で、財務省が各省庁の調整を取って最終的な予算案を作成するってのは、やはり官僚は、官僚としての仕事だけでなく、政治屋が無能なおかげで調整の仕事まで今までずっとしてきたってことじゃないのかね?。
 で、蓮舫の言っている、議員が作る予算案って何よ?ということになる。現場のことを知らない、それこそ民主党なんて見かけ重視で候補者を乱立しているような状態なんだが、そいつらの意志は買うにせよ、本当にミクロマクロの視点でバランスの取れた、本当に国民のためになる予算案ってのを作る能力はあるのかね?。
 田中角栄も言っている事は素晴らしかったのだが、結局彼のやったことってのはなんだったのか?というのを考えると、どうにも判断をつけにくい部分はある。彼が日本の政治家として初めて議員立法という仕事をしてのけたらしいのだが、結局それは道路関連法案だけであって、国全体を取り仕切る仕事の部分でそれが発揮されたのかどうかはわかんない。日本列島改造論にしたって、理念だけは素晴らしかったのだが、あれが潰れたのは本当にロッキード事件による失脚だけだったのか?。当時だって別に日本は豊かといえるほど金持ち国ではなかったわけで、限られた予算を「日本の地方を活性化させるためにバラマキをします、さしあたって自分の選挙区をモデルケースとして最初に投資します」って感じでごっそり抜き出して、で、いざ全国にバラマキをする段になって、今の黒字計画倒産みたいなことをやって、「やっぱ予算が足りないから全国はムリ」って、国全体の税金を自分の選挙区だけに重点的に配分しただけって可能性も否めない。道路特定財源だって、結局は道路族という自民党内の強力な派閥を作って、その後の田中派経世会)の権力基盤になっただけといわれれば、否定は出来ない。つまり、議員立法にせよ、議員が予算を作るにせよ、議員が自分の身かわいさ前提で方針を作って、実際の作業は官僚にやらせるってことになると、また経世会が踏んだ轍をもう一回踏んで失敗することになりかねない。しかも、実際の数字には官僚に比べて圧倒的に弱い政治屋が多い現在は、官僚よりもっとぶっとんだ予算案を作る可能性は非常に大きいわけだ。
 というわけで、予算案を政治家が作るって蓮舫は言ってはいるものゝ、本当にそうするつもりなのかどうかもわからないし、本当に政治家が作ったとしても、それが官僚の作るものよりも優れている可能性は著しく低いし、ともすれば、民主党が言っている、政治家の作る予算案ってのが今の自民党のやり方よりもっと国民から泥棒をするようなものになる可能性だってあるのだ。
 もしかすると自民党は官僚に対して「自民党に利益誘導が十分行われるよう予算案を作れ、ただし国民にはそれと知らせるな。各省庁間の調整などやりかたは一切任せる。拒否したら出世はさせてやらない。うまくいったらいいところに天下りさせてやる。渡りだって何度も世話してやる。」ってものだったのが、民主党になれば「とにかく政治家の作る案に従え、従えないならクビだ」という強権的なものにかわるだけかもしれない。で民主党が彼らだけに有利な予算案や法律を作らない保証は一切ない。仮に彼らが本当に善意で予算を組み立てたり法律を作ったとしても、現状に合わないトンチンカンなものだったら全く意味は無い。むしろ自分が間違っていることに気付いていない分、修正が困難(もちろんその時に国民の選挙による制裁がスムースに行われればその限りではないのだが…)なだけに一層タチが悪いということになる。
 まぁそんなわけで、公明党自民党も、そして表面的には衆議院野党の皆様方も官僚たたきに余念がないわけだが、本当に官僚抜きで日本が回ると思ってんのかね?。天下りや渡りを禁止することに終始して、早期退職する当の官僚達の有効利用っていうか、そういうのを含めての人事システムを作るっていう視点が全く欠けていて、与野党どちらとものタダの人気取りしかやっていないように見えるんだが。麻生が人材交流センターの前倒しとか言ったらしいが、アレって小鼠・ケケ中が官僚を自分たちの都合がよいように、いいなりにさせるための拘束システムだったわけで、あんな害にしかならないものをいち早く実施なんて狂っているとしか思えないわけだが。