貧乏姉妹物語 第10話「風邪と約束とお母さんの日」

 おぉ、なかなか。クライマックスは泣きながら視聴しておりました。
 うーん、出来が今までとぜんぜん違う。もしかしてスタッフはこのシリーズを作るにあたって、この最終話からつくり始めたんじゃなかろうか?。全10話という中途半端さも、全12とか13話にしてしまうより、2〜3話分の予算を絵に当てて、浮いた時間は話の錬りこみに使ったのかもしれない。わかんないですが。とにかく絵的にも今までより工夫が見られるし、崩し絵も手が抜かれていなかった。
 細かいところを言えば、気になるところがないわけではないんだけど、とにかく母親を仲介とした姉妹の絆が軸になっており、これを基本に展開展開展開畳み畳み畳みの構成がうまかった。母が言ったというタンポポの言葉の真意をきょうが悟るとこ*1なんぞ、もう溢れる涙が止まりませんよ。間がもうちょっと欲しかったという気もするがどうだろう?。OPを削ればよかっただけのような気もするが。
 シリーズ全体を通じてだが、ストーリー的には親切すぎるというぐらい答えをちらつかせているというのが気になるほかは、まぁまぁ楽しめた。やはりこういう作品になったのを考えるには、スタッフ(原作者なのか?)の想定しているターゲット層を考慮に入れねばなるまい。今話のきょうがあすに体を拭いてもらう場面を見て、どきどきしたのはそうなのだが、気恥ずかしくはあってもどうも視聴者サービスみたいな媚びみたいなものは感じなかった。たしかに顔の造形はリアルでも極限まで抽象化されたお子様絵でもなく、アニメ絵ではあるのだが、あまり萌えを意識したものとは感じなかった。
 やはりきょう・あすが夫婦のメタであるという予想を立てている以上、私の予想は20〜30代のアニメファン及び彼(彼女)の配偶者がターゲットなのではないかと思う。アニメファンの男、つまりM1層が飛びつくのはともかく、展開で言うとその一段先の層である彼の奥さん。普段は彼のアニメ視聴を鬱陶しく思いながらも、もし一緒に見るなら原作者が女性で、女性視点の男の下心抜きの作品ならばきっと彼の奥様も一見すれば抵抗感が少なくなるだろうと思ったのではないだろうか。あすは視聴者に対しては家事をやっているところを中心に見せており、専業主婦の奥様の感情移入にぴったり。もちろんあすは学校にも通っているので、家事をほとんどこなしている共働きの奥様にもぴったり。きょうは絵的にはちょっと小奇麗な男としても通用するし、家のために精一杯働いており、かつあすのことにも目が向いていて感謝を忘れない。女にとっちゃこういう旦那って理想じゃないですか?。まぁこの作品がわかりやすいというのも、*2普通アニオタの嫁なんてアニメを馬鹿にしているのがほとんどだろうから、ちょっと見の段階では気合を入れて見てもらえないから、こむずかしさを極力少なくして、すこしでも取っ掛かりを多くしてみたのだろう。CM前後のアイキャッチも家事をやっているものから見たらいかにも共感をもてそうな内容のものばっかりだったし。
 というわけで、わかりやすくかつ女に下品さを感じさせない作りであるということはそういうことなんじゃないかと。そう考えるとこういう作りなのは非常に納得がいくものなのです。まぁ主要M1派生F1というのが結論。そして結果がどうなるかはわからないのですが、意図したことはちゃんと漏れなく表現されているとは思う。ただ、私なんかは隠されているスタッフの意図を読み取ることをアニメ視聴の一つの楽しみにしていたりするので、このわかりやすさはちとものたりない感があった。どんくさいほどありきたりな回もあった。が絵がなかなか崩れなかったし、ストーリー部が気合を入れた回はなかなか読み込み甲斐があった。主人公のキャラの年齢が若いだけに行動の至らなさには納得が行くし、周囲の年長キャラがそれなりに大人だったのも心穏やかに視聴できた要因の一つ。もっと錬りこめばすごい作品になったろうにとは思うのだが、それはあまりに酷か。第二期があったら必ず見たいと思った。おもろ。

*1:これはいかにも説明っぽいんだけど(なぜ母親がこんなキレイ事を年端の行かないきょうに言ったのか?を考えると実は視聴者の何人かは真意に気付く)、まぁここは今話と言わず今シリーズ全体のポイントなんで、極力置いてけぼりになりそうな視聴者をなくすという配慮なんでしょう。わざとらしいといえばきょうの絆創膏まみれの指がもう要らないというほど強調しすぎであって、それに比べれば気持ちはわかる。

*2:そりゃバカにも理解してもらえるようにということもあるんだろうけど、