五等分の花嫁視聴した。

 なんとも不思議な作品。初期の2~3話は何の変哲もないフツーの萌えアニメ*1という感じで、特に見るべきものもないかなと思っていたんだけど、中盤に入ってどうも様子がヘンだということになった。エンジンがかかるまで数話かかるのは他の作品も同様なんだけど、この作品の場合、もやもや感が結構残る。
 そもそも最初に結婚式のシーンがあって、主人公格の風太郎の嫁選びであることが示され、五人出てくるヒロインズの誰かと結ばれるという結論が示されるのだが、ちょっと視聴してからこれ賢いなとは思ってた。原作は週マガらしいが、これ編集に「打ち切りが決まりましたのであと3~4話で〆てください」と言われたら、そのときに急に誰と結ばれるか決めて、決定的なそいつとのエピソードをぶっこめば形になる。
 視聴後にWikipediaをちょっと重めに読んで、この第1期で明かされていない設定も目にしてしまったのだが、それはともかくこれ漫画賞を取ってるらしい。絵が上手いとの記述も目にしてお試しで第1話を読んでもみたのだが、たしかにメリハリのついた絵で、原作とアニメ版のテキストの差異も見当たらない。が、アニメオリジナルストーリーであったとしても第1話から変えるということも極稀なので、そのへん細かく原作との相違があるというのをチェックしたわけでもないからそのへんはまぁ。
 で、構造的にも萌えアニメスタイルをバッチリとっていながら、第1期通して視聴してどうも感覚がヘンだと感じた理由をあれこれ考えていた。初期にパンチラもあり、ヒロインズにもお色気描写をしているにもかかわらず、これ自分的にはあまり響いてこなかった。
 物語の導入部も微妙で、成績の悪い娘につける家庭教師が大学生やそれなりに実績のある大人ではなくなんで高校生なのかだとか、五人もいるのになんで一人なのかだとか、もう風太郎&五姉妹という構図を作るためのドリーム設定なのが明らかで、この時点で方向性が視聴者にまるわかり。とはいえ、これは萌えアニメとしてありふれたものであって、この作品特有のものでもない。
 で、萌えアニメとしては平凡であるのだが、自分が本作を視聴し終わって割と印象的だったのが、花火大会での長女の「学校の勉強とは」という問いと、中盤の風太郎の「黙って俺のいうことを聞いてれば良い」というシーン。前者はぼく勉を視聴してたのでどうしても比較してしまうのだが、これ、どちらもヒロインの家庭教師になるという設定ながら、ぼく勉のほうは勉強よりはラブコメ主体なのに対し、こちらはむしろ「花嫁」なんだからラブコメ中心かと思いきや勉強そのものに対する直球な問いかけがなされてるとか、ちょっと苦笑した。後者は、ヒロインとのすれ違いの際にはメジャーな展開やその時のセリフではあるんだが、五人からの選択なので、あんまり萌えアニメとしては筋の悪いところではある。が、これ、割と真剣に描かれていて、このセリフでの両者は風太郎歩道橋の上、五女はその下になっていて、その後の展開で五女が歩道橋を上がってきて風太郎と同じ高さでやりあってるところからも両者の心理的立ち位置を示しており、これこそ視聴者に見せつけたいシーンだったんだなと思わざるを得ない。その後の人生ゲームのシーンも併せて、これ結構ワープアで追い詰められた庶民のメタファーなんだろうなと思うが、こう、なんのかんのいって割と萌えフォーマットを使いながら、実はラブコメよりも社会的なイシューを投げかけたいというのが本質なんでないの?という気がしたのだ。そういや五姉妹の得意分野を五教科被ることなくまんべんに散らしているのも、ヒロインズをいろいろな特質を持つ庶民を五類型に分類してみせたのだろうし、五人揃って一人前という構図にしてるのも、社会のいろいろな人たちが協力しあって一つの社会を構成してるとかそんな感じの記号なのかなという気がぼつぼつしてる。なので、人気が続く限り作者はのらりくらり五人のヒロインズと風太郎を近づけてみたり遠ざけてみたりして読者をやきもきさせ、その過程で作者が投げかけたい社会的イシューを混ぜ込んでくるのかなという気がしてる。
 自分最初は風太郎が五人全員と結婚する結末、例えば五人全員が内縁の妻だとか、誰か代表して籍を入れるんだけど他の四人も形としては妾みたいになるが五人平等の関係だとかそんなハーレムかもと思っていたのだが、上記の予想が仮に正しいとすると、作者最初っからだれとくっつけるのかについて興味ないんだろうなという気がしてる。逆にラブコメ中心になるとしたら、それは作者がこの作品を通じて投げかけたいというイシューが無くなったということに過ぎなくて、それでも話を〆る際に編集から、人気投票でトップのこいつとくっつけてハッピーエンドにしてくださいとでも言われたら淡々とそれに従うんだろうなという感じ。
 
 
 

ダンベル、高木さん視聴した。

 ダンベルは何話か原作を読んでるはずだがほとんど記憶がない。初心者向け紹介モノとしては無難の出来で、アニメとして動きがつくのは漫画よりメリットがあるし、ラストの復習は視聴者がちょっとその場でやってみるかと試すにはいい試みだと思った。ただテキストは凡庸だし、この手のものにそれを期待するのが野暮で、むしろ邪魔になるだろう。
 高木さんは、サブキャラのキャラデザが一部変わってる他は第1期と似たような感じ。バリエーションが変わってるだけで基本同じことの繰り返しなんだけど、あんまり飽きを感じさせないのはさすが人気作といったところか。

*1:この時期「花右京メイド隊」に似てるなという感覚で見てた