涼風 第24話「失踪」

 既視感を感じたので、前回の終わりの部分&次回予告をもう一度見る羽目に。
 ぎりぎりまで安定期に入らないストーリー作りは狙いがあってのことだろうけど、まさか話を閉じないわけではあるまいね?。前回の次号予告は「また女心のわからない大和くんがとんちんかんなことを言って涼風に呆れられたか?」と思ったのですが、実情は違っておりました。でも昔の思い出でなくてもきっと涼風は怒ったよね?。ここまで陸上を女釣りの道具に使うのも、真剣に取り組んでいる人をとことん馬鹿にしているよね?。ということで。いや、あくまで物語のことですから。感心するのは女性向けにヤスノブ・宮本&衣笠先輩を魅力的に描いていることでしょうか。羽柴はお色気担当ですか。とってもいい娘なのに。きっと同人では涼風よりいたいけな姿をさらすことになるんでしょうね。萌果ちゃんにはまだ出番がありました。まぁあれだけ自分からフラグを蹴り倒していれば元のさやなんてあろうはずもないでしょうが。
 大和くんがあまりに馬鹿なのでけなす単語は多くなりますが、むしろストーリー作りは秀逸だと感じております。この作品は涼風&大和くんの痛々しい姿を生暖かくヲチするのが正しい鑑賞の仕方で、まさか今になっても大和くんが白馬の王子ごとく成長してお姫様である涼風と結ばれてめでたしめでたしという結末を期待している人はおりませんよね?。いや私も原作を途中で放棄していたせいか、途中まで大和くんと涼風が傷つけあいながらもお互いが成長し合う物語か?と勘違いしておりましたし。
 この作品の器用なところは、男も女も両方楽しめる作りになっているところです。まぁ男が馬鹿なのは大和くんだけではなくて、ターゲット層である中高生男子、しかもアニメに興味がある奴らでして、まさに萌え主体でこの作品を鑑賞するわけです。この作品を見る男ならばヲタクに限らず女キャラの値踏みで仲間内で盛りあがるというのが大抵の見かたになるでしょう。女は大和くんの馬鹿っぷり*1を話のネタにしつつ、それ以外の男キャラの値踏みでお互いの好みを確認しあうというのが主流でしょう。男と女のグループで万が一この作品が話題になった場合、女性キャラクターで盛りあがる男子共に話を合わせつつ、心の中で「馬鹿じゃねぇの」と毒づく女子が目に浮かびます。周辺キャラの誰に興味があるかの話しになると、どんな異性が好みなのか調査(&話のネタ)の対象になり、あとで同性どうしの盛り上がりに使われでもするのでしょう。この作品が個々の視聴者にどういう受け取られ方をするのかだけではなくて、学校などの閉鎖的コミュニケーション*2でどういう扱われ方をするのかまで見据えて作られているわけです。話のネタにならなきゃなんないんだから、美しかったらいけないでしょう?。
 そう考えてみると、この作品の脚本陣が女性であって描き方がウマイなんて言っていたのは的外れで、むしろ女性でないと描けなかったとでも言うべきなんでしょうね。脚本陣が人間関係の馬鹿さ加減について練りに練って、それを特に男の視聴者が飛びつくように作画陣が腕を振るう。正直そんなに作画がとびぬけていいとは言えないのですが、今回にしたってポイントをおさえた止め絵、涼風の高跳びシーンの気合の入りよう*3など、枚数は少なくとも配分のうまさは感じます。予算は少ない、使う役者はシロートを半ば強制、と与えられた条件を考慮すると、全体的によく考えられていると思いますよ。実際。

*1:もちろん馬鹿男に惹かれる涼風を馬鹿にすること半分、同情すること半分で

*2:流行の言葉でいえばオンラインオフラインを問わないSNS

*3:OP動画より綺麗だと感じました