帰宅

 ただ今帰宅直後です。ちょっとした旅行にいっておりました。仕事のようなもんですけど公務ではなく、だからこそ自由に歩き回れたのではありますが。以前住んでいたところなのでどのように変わったかとても気になってはいたのです。実はもう30年ぐらい前になろうかとしているぐらい。そうは言っても20年程前にも一度訪れておりました。あぁいざ思い出してみると前回の訪問からもうそんだけ経っているんだ…。
 現地に到着してのあまりの変貌にくらくらしながらも用件を済ませるために移動。中高生とすれ違うのだが、やっぱりいまどきの装いに幻滅しながらも、一時の茶髪大流行よりはましと思い返す。住んでいたとはいえ一度も訪れたことがなかったところなので少してこずりながらも行き当たる。用件は3時間ほどで済み、繁華街に移動。
 帰りの便のことを考えると3時間ほどしかないので繁華街の端からもう一方の端まで散策したら次のスポットに移動しようとの腹積もり。店の並びはずいぶん変わっていながらも所々思い出すのもあり。店の業種から言うと自分が住んでいた頃からあったはずなんだけど覚えていないのもあり。中国雑貨を売っているのにメタルフィギュアも売っていた謎の店も噂で無くなっていると聞いていたけど(この情報だけでどこかわかってしまうかもしれませんが、そこはそれ・・)いざ確認してみるとやっぱり寂しい。さて次は今回の最優先課題のスーパーへ。この前のニュースでこの地域の店舗が閉鎖と耳にしたので一度お別れに行っておきたかったのです。全国チェーンの貧乏人の味方のアソコなわけなんですが、記念に何か一つ買ってみようかと。閉店セールをやっていたのですがやっぱり人は少なく、かといって閑古鳥が鳴いているというほどでもない。アレもっと階数はあったはずなのに。結局ネクタイと地下一階で帰りの便の中での食い物を査収。ぜひ記念に最後の姿をデジタルカメラに撮っておこうとするのだが、この段になって忘れたことに気付く。あれほど忘れないように用意までして、目につくように旅行用ザックの上に置いておいたのに。後で理由に気付いたんですが、自家用車でターミナルに移動中ザックの上から滑り落ちていたようで、助手席の足元に転がっていました。仕方がない、買ったネクタイの履歴は覚えておくことにしよう。信号を渡って少し行ったところの右手にあったプラモ屋兼おもちゃ屋がゲーセンに変わっていたことを確認して繁華街をうろつくのを断念。うーん、おもちゃ屋は以前来たときにもう無くなっていたかもしれん。とにかく次は住んでいたところに移動することにする。
 停留所に降り立っての風景はやっぱり凄い変貌振りでした。お気に入りの文房具屋兼本屋も以前来た時にはもうつぶれていましたし、思い出があるのは中華の店と果物屋ぐらい。自分の家まではかなりあったはずなのですが、大人になった今は意外と近いのに気付く。自分が住んでいたところを忘れているはずも無く、あっという間についたのですが、20年前にはまだあった住居があとかたもなく公園になっていました。3畳ながら初めてもらった自分の部屋があったところもゴキブリが出てしょうがなかった狭いあの台所もステレオをはじめて置いたあの居間も一台しかなかったテレビがあった寝室兼客間のあの部屋も一切合財が全部まっ平らな遊び場に。隣が官公庁なのでここが変わってないほかは全部様変わりしておりました。となりが高層アパートになっていて部活でブラスに所属しているのかクラリネットの練習が聞こえてくる。あ、聞いたことがあるぞ。なんだっけ。そうそう私が大好きな作曲家リムスキーコルサコフの「スペイン奇想曲」だわ。うーん、この曲を物悲しい気分で聴くとは思わなかったよ。
 結構近いので通った中学に行って見る。途中同級生が食べ物屋をやっていたのを思い出し、その前を通るんですが、その店はなくどうやら喫茶店になっているようでした。そこを通り過ぎるともう中学に到着。表札には覚えがありました。というより校舎には見覚えが。体育館は建て替わっており、部活で基礎トレしかやらずに走り回ったコースを見てみようかと思っていたのですがそれは叶わず。女子中学生に挨拶されて返したんだけど、友人の女の子が「誰」とその女の子に聞いていたようです。そりゃそうだ。このままだと変質者と思われても仕方がないもんな。日がとっぷり暮れていたから気にとめられなかったんだけろうけど、平日の日が高いときだったら呼び止められて追い出されていたかもしれない。この中学自体は入ってスグ転校してしまったのでそんなに細部まで覚えていないのですが、それでも雰囲気だけはよみがえってきました。
 今一度自分の家の前から今度は小学校に行ってみようと思い立つ。帰りに前述した食べ物屋を発見。3階建てのアパートになっており、一階部分がそこになっておりました。友人はおらず、どうやら健在なご両親が続けてやっているみたいでした。ちょっとした夕飯を済ませると小学校へ。ランドマークたるべき店が大幅に様変わりしているのでびっくりするのですが、意外と民家は変化が無いようです。そういえばこんな家もあったような気がするといちいち確認しながら小学校の前まで来る。驚くべきことにほとんど様子に変化はありませんでした。校門をくぐっての校舎体育館の配置、運動場に出てからの遊具類の配置も30年前とほとんど変わっておりませんでした。木造ではなく鉄筋の近代的校舎なんだけどいろいろ歩き回って見る校内の風景は思い出と齟齬がほとんど無く、マンホールまでがその位置にあったことが思い出されるのです。小学生が日の暮れた学校に入ることなんて無かったはずなんですけど、暗い風景ですらありありと昔のことが思い出されて、ある意味感動してしまいました。校内をぐるりと一回りすると校門付近のドーナツ状の池を覗いて鯉が泳いでいるのに懐かしさを感じながら外に出る。電車通りまで出ることにする。
 電車通りの脇にある市場は、テナント募集の看板がある店もあることながら、まだ地元に活用されているようでした。もう時間が時間だったのでほとんどしまっていたのですが、中を通ると果物の臭いやおからの臭いがまた懐かしさを催す。端の寝具屋も看板の文字は古めかしくて書体が昔どおりなのを思い出すのだけれど、看板自体は新しくて店主のこだわりを感じさせます。店の中のようすが窺えて、見てみると昔通りの配置。商品自体は全部入れ替わっているはずなんですが。電車通り沿いを歩いてみると、結構昔どおりの店構えなのがけっこううれしい。ガラス張りの美容店から覗く観葉植物がこれまた昔通り。さすがに成長していましたが、それよりそんなことまで憶えている自分にもびっくり。結局後ろ髪をひかれる思いでありながら、最終便がもう30分後に迫っていたのでターミナルに急ぐ。
 帰りの便だけでなく行きもそうだったのですが、せっかく本を用意していたのにほとんど読まずに寝て過ごしてしまいました。そこからはまた遅い自動車にイライラしながら帰宅したのですが、なんかヘンな気分。まぁ記録しとかないとこの気持ちもスグ忘れてしまいそうで。繰り返しになるんですけど備忘録として活用しているのでアニ感を期待していた方にはすみません。というかはてなさんありがとうございます。