第1話「カウント・ダウン」導入部

 話の内容よりはまず初回でやらなければならないことについて触れます。すなわち

  • 登場人物の紹介
  • 背景説明
  • 話の方向性

 などです。
 ネタばれを防ぐといいながら早くも破られそうではあるのですが、この作品の登場人物はかなり多いです。前日述べた私の友人のお気に入りの作品であるGUNSLINGER GIRLですら、ほぼ1クール(正確に言うともっと少ないのですが)を使ってようやっと登場人物の紹介が終わるぐらいですから、それより多い本作の人物紹介が如何に難しいか予想されます。私自身第1話を視聴し終わった時点で頭に残った人物といえば、シノンキスカ・ディータ・スパイクスの4人ぐらい。あとから見直してみると、ほかの登場人物もきちんとあとの話につながる重要な発言をしているのですが、この時点では話を追いかけるのに精一杯でとてもそこまで頭が回りません。シノンが主人公なのか、シノンはただの視点提供者なのかすらもここでは判断がつきませんが、これはこれでOKだと思います。敵の顔が見えないですがそれどころではないのです。とりあえず、初回としての紹介人数としてはこれが精一杯ではないでしょうか。
 背景説明についてもかなり難しいですね。まず社会的な背景とこの世界で実現しているSF的背景を同時に説明していかなければなりません。乗組員がなぜ残ったのかの理由説明がありませんが、初回にやることが多いですから後から説明されると考えたほうがいいでしょう。候補生たちの置かれた状況が、現在の「大学にまで行ったのに就職先がない」という符牒に合致しているのですが、これに関する考察はあとでやりたいと思います。SF的背景にしてもロボットアニメが受けやすい昨今、ワープなどの理論上不可能な現象を採用しながらも、基本的には現在の科学技術が発展したらそうなるだろうという実現可能性を重視していますので慎重を要します。確かにSF初心者にはかなり厳しいのですが、番組の後半の戦闘シーンで説明したのはいいことだと私は思います。どっちにしろ番組を視聴していく中で徐々に明らかにしていくんでしょう。
 監督なり脚本書きなりの頭の中には既に結末まで出来上がってはいることだと思います。細かいところはその時々でつめていくとしても、話の方向性は製作者側にとっては既知です。ただ、初めからそれを明らかにしてしまうと面白くなくなってきますから、視聴する側としては少しずつ明らかになっていく情報を頼りにあれこれ予想する楽しさを味わうのが正しい鑑賞方法だと思います。とりあえず、「プー達がいかに生きる方法を獲得していくか」が明らかになっただけでOK。