恋は雨上がりのように 第11話

 今更ですか。
 これは倒置構造といってよいのかな?。店長のふとしたやさしさでバイト入りを決めたあきらについては、怪我をして直後の心理状態や陸上を辞めるためのいろいろな判断があったはずで、それらをすっ飛ばして描いている以上、なんの蒸し返しなんだという気がしないでもない。店長に関してもこの終盤にかけての作家志望設定をやっぱ今更なんだよな。お互いが過去にしがみつけば今の関係性が壊れて話が終わっちゃうので、おそらく大きく変化することはないと思うのだが、逆にこれが後々のドロドロを描くための販促作品だとすると、それはそれでよく出来ているとも言える。
 しかしもし11月で陸上競技に復帰してもちょっともう間に合わないタイミングだわな。能力があるという設定だから、それなりの記録が残せるにしても全盛期の記録を超えるには時間がねぇといったところ。おそらくからだ作りで時間切れになると思う。とはいえ、別にはるかとしては一緒に部活動をやれたら満足であって、やれインターハイ出場だとか結果を残すというのは二の次だと思うので、そのへんよな。スポ根モノならなんでバイトで沈んだまゝなんだ、少しでも上を目指せって態度になるんだろうが、この作品のおもしろいところはそういう全力主義から脱却しているところにあると思うので、そのへんのミスマッチが絶妙。はるか視点では、怪我でやる気を無くし男に溺れているように見えていて、それは今までの作品だと堕落一直線って方向であんまり褒められた話じゃないなぁという価値観なので。しかしそれは微妙なバランスであって、これが店長があきらをたぶらかして学校の勉強もガタ落ち、爛れた関係を続けるとかだったら本当に褒められた話にならなくなる。で、冒頭の怪我直後のあきらの心理状態を描いていないのがミソではある。どう考えても落ち込まなかったはずはないし、しかしその部分を視聴者に見せずにさらっと流すことによって、怪我をしたあともフツーの日常は続くし、その日常を嘆いてばかりで過ごすことに特に価値はないということも示せるわけなので。