サクラクエスト 第23話

 エッグタルトの店じゃぁ需要は厳しいだろ。
 と思ったのだが、もしかするとなんて考えてみた。南砺市が合併で人口一万規模の町三つほどゝ、ほか村と合わさっているのだが、いま自分が住んでいる町が合併前は二万弱であったことからもしかするとそう無理はないのかもと思い直したのだ。いやまぁ一万と二万というのは数字で考えるより結構差があるとは思うのだが、自分の住んでいる地区だと洋菓子屋が思いつくだけで四つある。うち二つは大手のチェーン店で、今でこそ片方は無くなったが、そのチェーン店の一つはそれほど離れていないところに二つの店舗があったぐらい。で、二つの個人の店は、なんと寂れた商店街にある。そのうち一つは商店街にもともとあった和菓子屋が併設という形で始めていたし、もう一つはこれまたなんと、新規出店。割とこの付近では交通の要衝という性質が強く、合併前の周辺の地区の人口を吸い込んではいるのだが、しかし合併前より人口は減っているのでいやまぁ今回のこの新規出店の話もそれほどリアリティがないわけでもないのかなと思ってみたり。経営者が地区出身者で、なんとかしなければという使命感でやってるようだから、ある程度赤字になるのは覚悟の上だろうし、そのへん大きな損失にならなければ既存店舗の利益と相殺してプラスになるならやってやろうという意気込みなのかも。いやまぁどう考えても降ってわいたような話なので成功例として評価できるものでもないとは思うが。
 商店街にしてみれば、国王の働きのおかげで(なるかどうかは別として)町興しの伝手を引っ張ってきたわけだから評価せざるを得ないわけで、閉校式から出店の流れだけが確率が激低いだけであって、まぁこれはよいのでは?といった感じ。アクセサリー屋の若者に保証人ってのも脇が甘い話だなという気はするが、そのへんも昨今のオレオレ詐欺に大漁に引っかゝる国民性を考えるとありえない話でもないなとか。こんなに話がうまく進むはずもないが、仮に進むとなるとこういう展開は十分ありうるという点においては、それなりに良く練りこまれた話だなとは感じた。新規出店に際して自分の店の利害で醜く対立が起きるって可能性は一昔前というか二昔まえぐらいには十分ありえたと思うんだけど、商店街が衰退してかなり時間が経ち、現実を痛いほどわからせられて各商店主が諦観に達しているというのもポイント高い。