たまこまーけっと 第11話

 登場キャラの中で、デラが一番まともに見えるという逆転現象。
 商店街の集会で、若者組の話をふと思い出したんだけど、たまこ本人の気持ちを把握していないこと、相手の素性がわからないことなどを考えると、あんま関係なさそう。が、コミュニティがかなり個人的な事情に首を突っ込むってのはやはりそういう構造を示したいとしか。うさ湯の娘の結婚の折はそういう相談事が一切なかったからね。
 むしろモチマッツィ王家のあり方のほうがコミュニティ論に踏み込んだ描写のように思える。血が繋がっていなくても同じ姓を与えられるってところね。自分は不勉強でそういうしきたりの民族を知らないのでなんとも言えないところだが、例えば与えられるということは集落というかコミュニティ全体が同じ姓ではないというところは、日本の集落まるごと親族ってパターンでもないし、同じ姓だからおそらく祖先は同じだろうからといって互助が与えられる中国のあり方とも違う。が、姓が与えられるということは、王家以外はやはり違う姓なわけであって、そのへん(王家)コミュニティに入る人間は同じ敬意を払われる存在として扱われるだろうから、出世システムみたいなもんか。血縁関係ないようだから、本人の代で終わりっぽいし。でも被差別階級の存在はどうなんだろ?。南洋の小島だったらそういうのはなさそうな気がするが。
 まぁなんといっても今回のミソはメダルと后の位の選択だよね。たまこは自分でスタンプカードを集めたメダルに価値を置いているが、普通スタンプカードなんて金券扱いされることが多いのに、メダルという貨幣価値がまったくなさそうなものを后の位に対置させてるのが意図的ではある。メダルといっても例えばスポーツなどの競技の能力が優れていることの証でもないし、「そのコミュニティにどれだけ貢献したか」というものでしかないわけで、それだけたまこがあの商店街と不可分な関係性にあることに価値を置いているかというものだ。
 あと謎なのはたまこがそのメダルをなくすというところ。今までの描写からすると、特に管理方面にしっかりしているわけではないけれども、テンプレどおりのドジっ娘でもないわけで、たまこがメダルをなくすことに説得性が全く無い。いやもちろん、たまこが大切に思っているものを王子が差し出すというシーンのためのものだというのはわかるんだけど、そのためにはメダルが無くなることの意味が必要。正直王子との面識も無く、恋愛に関しても関心が無く、后に関する興味もないたまこが商店街や今の生活より他のことを優位に置くはずも無いんだけど、それだけたまこが自分を見失っているということゝ、王子は選択権をたまこに与えているという象徴ぐらいにしか思いつかないけどねぇ。そう考えるのもなんか違うような気はする。