南鎌倉高校女子自転車部 第13話

 生徒が修学旅行の下見とかありえん。
 とはいえ、それをいっちゃぁキャラ達が海外に出かける口実が見当たらなくなっちゃうんで、これは実はそんなに筋が悪くないとは思っている。今回の話で難しいのは夏海の自己実現だの、台湾の観光あれこれなどが決して自転車を必要としないものであって、個人的には海外旅行には興味があるが、海外にまで輪行したくはないので、こじつけとまではいわないが、なんかこの部分こそ筋を外しているんじゃね?と思えたこと。番外のマウンテンバイクの貸し出しで2000円超とか高くね?とは思ったのだが、逆に旅先まで自転車を運搬する手間やコストを考えたら選択肢として悪くはないし、そこまでマイ自転車にこだわる理由ってなんなの?といった感じ。かろうじて湖を一周するという要素を持ってきたからなんとか体裁は整っているのだが、なにゆえ「自転車を介する」という必要があるのか自分には見当たらなくて困った。夏海の困惑も個人的にはどうでもよいし、なおさらゲストヒロインが唐突に身の上話をしたり、ヨーロッパ行に夏海を誘うのも説明が足りない。
 せっかくなんだから台湾のUbikeのことをしっかり描いたほうが、日本のレンタサイクルとシステムが違うゆえの利点とかそんなのが提示できそうなのにもったいない限り。自転車のりだからこそ自分の愛車に愛着もあるというのはわかるが、身軽になれることによる可能性の拡大とかいろいろ魅力的な視点はいくらでも思いつくはず。結局ロードバイクから離れるつもりはないのね…といっても、薄い本の時点で、女の子&ロードバイクがテーマなのだから、あんまりそのへん自分がヘンに思ってもそのほうが的外れであるという。


 さて、これで一通り視聴し終わったわけだが、問題点は多いのではあるが、個人的にはろんぐらいだぁすよりはちょっとばかり評価がよい。それは散々言ってきたとおり、コンセプト部分での軸がしっかりしていると感じられるから。ドラマ展開への落とし込みはもうちょっとうまいやりようがあるのになとは思うんだが、自転車をヘンに目的化せず、乗り物という道具としてどう活用するか?という部分が見えやすいので、いわゆる言い方は下手なんだけど心意気として通じるものがあるといった感じ。この部分がしっかりしてないと、絵や台詞のクォリティはよくても消費して後には何にも残らないという可能性が高くなる印象。決して必需品というほどのものではないんだけど、あれば生活や行動に幅が出るし、そのへん各自でうまい付き合い方をしてくれというところから逸脱してないので、趣味のものとして称揚してはいてもろんぐらいだぁすほどの押し付け感はなかったかなといったところ。まぁこれも散々言ってきたとおり、初心者向けの趣味モノというのはなかなかにしてその楽しさを素人に伝えにくいものではある(かといって玄人にだけ伝わるのは内輪受けにしかならない)ので、健闘しているとまではいわないけども、よく格闘したなというのが実感。